ヘッドを重たくもするのだ

マーク金井さんがジュニア〜学生時代に使っていたというウイルソン「8802」。

最近、折にふれて軽量ヘッド「MOE86シリーズ」の話をしているので、ゴルフクラブのヘッドって軽い方がいいんじゃないか? コイツは“軽ヘッド教”にでも入ったんじゃないか?って思っている人も少なくないかもしれない。だから今日は、あえて「ヘッドに鉛を貼ったぞ!」という話をしてみようと思う(笑)

ウイルソンの「8802」パターの良さに目覚めているということを「耕す。」でも何度か書いているけれど、それを見たマーク金井さん(なぜか最近、小屋によく寄ってくれる)が、“こういうのは相応しい場所にあるべきですわ〜”と、60年代のオリジナル「8802」を持ってきてくれた。なんでもジュニア時代にはエースとして使っていた思い出の一本だとか。私はそんなの置いていかれても困る!とお断りしたのだが「ボク、昔の道具に執着とかないんですわ〜。もらっといて〜」ということで、今もココにあるわけである。

左がマークさんからもらったやつ。右はマイコレクション。どちらも60年代初期のThe8802。

今、手元に10本くらい「8802」系(復刻版や同タイプ含む)のパターがあるが、その全部を平均的に、気がついた時に、ショートコースのグリーンで試していると、どうもマークさんの元エースパターが毎度タッチが合うことがわかってきた。鉛テープをガッツリとヘッドに貼って、グリップはテニスのグリップテープみたいのが巻いてあるカスタム満点の代物だ。それが異様にタッチも方向性も合うのである。

上手くなるために一生懸命頑張っていた学生時代に、それなりの結果を出していたからこそ、このパターは“エース”になり得たはず。スコアを作る道具として、とてもよいバランスに仕上がっているのだろうと素直に感服した。

先日のラウンドでは自分のコレクションから同じく古い時代の「8802」を持っていった。いつもの癖でグリップ下に鉛テープを巻いたものだ。マークさんの元エースとは、鉛の使い方が逆。バランスダウンになる貼り方をしたがる習性が自分にはある。結果はそこそこ。3パットもないが、バーディパットも決まりはしなかったという感じだった(笑)

いきなりの2枚重ねである(笑) 昔から売られているBALANCE UPテープがこれほど似合うヘッドもないと思う。

今日、たまたま手持ち「8802」の打ち比べ大会をしてみた。やっぱり、マークさんのはいい感じだった。そこで、例の手元に鉛を巻いたこの間そこそこだったやつの鉛を剥がし、代わりにヘッド部にドカン!と鉛テープ2枚を貼ってみた。すると…とてもいい感じ(笑) 打音もより静かになって、タッチが揃うし打つのが楽しくなった。

パターはフルショットするものではなく、タッチをコントロールするものだ。そういうものは軽ヘッドよりも多少ヘッドを感じやすいものの方がいいかもしれない。そう思い始めた。シャフトも硬過ぎないほうが突っつかない気がする。

今日のまとめをしておくと、①なんでもヘッドを軽くすればいいわけではない ②時には鉛を貼って重くすることも必要 ③フルショットする番手とコントロールする番手は別として考える ④一つのことに囚われることなく、結果を重視して自分なりの道具に仕立てていけばいい。

そして⑤ 人が手を入れながら長ーく使っていた道具には必ず学ぶべきポイントがある。

もちろん、マークさんの元エースには手を入れない。オリジナルのまま、大事にお預かりしておこうと決めている。

最後に。鉛を貼ったからと言って「現代」のパターヘッドより重たくなっているわけではない。「現代」においてはこれでも軽ヘッドの部類だろう。ここの見極めがとにかく重要。今使っている道具がどんなものなのか。それを知った上でカスタムを考えることが大事である。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在