刻み越えた先にある、同じじかん。

PHOTO BY YASUFUMI SAKAGAMI

自分で巻かなきゃ動かないギア。

10年ほど前、米国のオークションサイトで見かけて以降、出品があるたびに入札し、負け続けて手に入れられなかった腕時計がありました。

TIMEX Ben Hogan Sports Watchです。1953年製です。

古い物なのであまり出品自体が多くないのですが、5、6回目の発見、入札にてやっと落とせたのが写真のモノになります。結局、若干競合者がいて60,000円くらいまで値が上がっちゃったと記憶しています。それが5年前くらいの話でしょうか。

広告に、ショックに強い!水に強い!ホコリにも強い!とありますので、65年経った今も問題なく動き、問題なく時を刻んでくれています。いわゆる手巻き式ですので、竜頭を負けば巻いた分だけ働きます。動かそうとしなければ動きません(当たり前)。

朝、カリカリと小さい竜頭を回して、止まっていた赤い秒針がチチチ……と動き始めた時、時間が1953年とつながった気がしてなんとなく嬉しくなります。また、針もボールも、動かすのは自分でしかないんだな、なんてことを飛躍して想う日もあります。

今も昔も、赤い秒針は同じように進んでいるのみです。デジタルの時代になっても時の流れは変わらない。秒針をみていると一歩一歩でいいのかなぁとも思います。ゴルフも一打一打の積み重ね。ショートカット狙いも時々ありですが、最終的にはプラマイゼロにて(笑) 結局、自分を動かすものは、たいして進化してない完全アナログな自分。Hogan Watchのように自分で巻いた分しか動けんものね。なんてことを思ったりします。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在