気がついたら、一気に春の陽気になっていた。ウォーキング通勤の朝、踏み出す一歩目がもう春の中なのだ。風が強い。土埃舞う。カラスが小枝を折りせっせと運ぶ。大好きな冬が終わってしまった。
それでも、春の心どこか晴れやかだ。空が霞んで山が見えにくくなってしまうが、それでも良しとしよう。冬の透明な空気は、ボヤけた春夏がなければありがたみがない。冬はまた必ず巡ってくる。自然は、律儀だ。
春夏秋冬。一巡すると一年になる。人間は同じことを繰り返すことをあまり良く思わないようだが、自然はずっと同じコトを繰り返す。散って咲いてを繰り返し、反復し続けたものだけが幹を太くし、巨木として威厳を放つようになる。変わることではなく、同じことを繰り返すことこそが難しく、そして尊いのだということを律儀な自然は教えてくれるのだ。
僕らは今とは違う未来を生きるために、変わろうとしてしまう。でも、本当は、ずっと同じことを繰り返しながら暮らしていくために、変わらなければならないのではないだろうか。同じことを繰り返せなければ、残れない。自然をみていればわかる。