世界中のツアープロたちが認めた、究極の打感と転がりにこだわった完全削り出しのパターヘッド。PLDは、Putting Lab Designの頭文字である。素材はステンレス。ディープミーリングを採用して打感はソフトだ。
フェースのミーリングを深くするとボールとの接触面が面ではなく点になるので、エネルギー効率がいい割に大きな音がしない。だから、打感的にはソフトに感じやすく、転がりがよい印象を持ちやすいといえる。
では、逆にフェース面にミーリング痕を残さないようにしたらどうなるだろうか。例えば、同じPINGでもクラシックなアンサー2などは、ステンレス鋳造のバレル研磨仕上げだから、フェース表面はツルツル。ミーリングしてないのだからミーリング痕などもない。ボールとの接触面が大きいのでボールも潰れやすいし、バックフェースも薄めなので打球音が大きくなる。
さて、コレはダメパターなのだろうか?
答えは、否である。
ゴルファーの中には、音を欲しがる人もいる。この場合、ソフト(静か)な打感のパターでは今ひとつ打った感じがしないために、音を欲しがって、つい必要以上に強くインパクトしてしまうことがある。加えてエネルギー効率がいいわけだから、打ち過ぎ&転がり過ぎとなってしまう。これでは決していいパターには感じられないだろう。
典型的なのがタイガー・ウッズである。ステンレスのミルドパターを使っているが、彼のエースパターのフェース面にはミーリング痕はない。鋳造ヘッドと変わらないスムースなフェース表面だ。そして、バックフェースやソールフランジも薄め。結構、大きな音が出る仕様だといえるだろう。
ウッズは、ナイキやテーラーメイドのミルドパターを一時的に使ったこともあるが、それは成績的にはどん底だった時期に符号。5度目のマスターズに優勝し完全復活!となった時には、ちゃんとエースパターに戻していた。メーカーはフェースに溝があるパターを使ってもらいたくって躍起になるが、調子の戻ったウッズが使ってくれるわけがない。なぜなら、彼は「打ったぶんだけ」転がってくれる、大きな音のする「飛ばないパター」で勝ってきたのだから。
世の中、エネルギー効率がいいパターを望むプレーヤーの方が多い。だからこそPINGもPLDパターを開発し、ツアー供給してきた。これはプレーヤーニーズを満たすという点で大正解である。もちろん、転がりの良いパターを欲する一般ゴルファーのニーズにもマッチしているだろう。「弱いかな」と思っても意外に転がってくれるパターである。
①重たくて、音が静かなパターは、自分で打たなくてもいいパター。つまり、飛ぶパター。
②軽めで、音が出るパターは、自分でしっかり打てるパター。これは飛ばないパター。
どちらがよいかは、あなた次第というしかない。ウッズが後者だからと言ってベストだとはいえない。言えるのは、パターには二種類あるということ。それを踏まえた上で、自分はどっちが好きだろうと考えることが「お楽しみ」だ。
PINGということであえて触れるが、創設者のカーステン・ソルハイムは、②のタイプのパターを理想としていたのではないかと思う。ブロンズヘッドANSERは、モデルチェンジの度に軽いヘッドになったし、ソールにスリットを入れて高い音が鳴るようにまでしていた。まさにしっかり打った感じがするのに飛び過ぎないパターの典型、代表モデルといえる。
何度もいうが、これがいいか、悪いか、ではない。どこまで行っても、自分(あなた)がどうしたいかだ。パターは、100%飛びを抑えて使う道具。どんな大きなグリーンであろうともフルショットすることはない。だからこそ、飛び過ぎないことも「使いやすさ」になることがある。個人的にはそう思う。