
ゴルフクラブの打ち比べ。結構楽しいものである。この秋もドライバーの新製品が満載。SNSを見ているとこの間、PING G430が話題になったと思ったら、すでに注目はスリクソンのNEW ZXになっている様子。このスピード感の中では発売されて間もないステルスグローレやNEW TSRすら、すでに古いモノかのような錯覚に陥ってしまう。プロモーションも発売前が勝負!という感じが強いのかもしれないが、発売された頃にはもう情報として「鮮度落ち」では寂しい限り。発売後の継続した情報発信に協力できることはないかなぁと、個人的にあれこれ考えている毎日である。
次々に出る新製品を試打比較して、ローンチモニターで結果が良いものを選ぶ。ホントに便利な時代である。そうした最新弾道解析機器を利用してベストなチョイスができるのも、進化の活かし方である。そして、カチャカチャ機能を使えば、ロフトの比較もシャフトの比較も簡単にできる。カチャカチャ機能(スリーブシャフト)はもともと試打・フィッティング用ツールの開発過程で生まれてきた機能だから、買ってからではなく、買う前にどんどん使用したいもの。個人的には、買ってからすぐにカチャカチャしなくてはならないようなクラブの購入はあまりオススメしない。
今のゴルフクラブヘッドは慣性モーメントが大きいから、インパクトでフェースが向いた方向に真っ直ぐに飛んでいく傾向が強い。つまり、ドライバーフィッティングの要点は、インパクトでフェースが打ち出したい方向にしっかりと向いてくれるモデルを選ぶこと。そのために今のドライバーはだいたい3タイプのつかまり度が違うヘッドが用意され、ユーザーそれぞれが「スクエアインパクト」できるヘッドを選べるようになっているわけだ。

個人的には、違うモデル、シャフトを比較対象とすることは意外に少ない。どちらかといえば使ってみたいヘッドが先にあり、それが自分にとって振りやすく、当てやすい感じにならないだろうか? と考える。
使ってみたいなぁと思うヘッドがあった時は、次のようなプロセスを辿ることが多い。
①無理なくボールが上がるロフトを見極める(ロフト10や10.5度から入る。あまり9.5度とかにはならない)
②自分にとってクセのないシャフト(重め・硬め)を選ぶ(最新シャフトにこだわらない)
③可能なら標準長さ/半インチ短め/1インチ短めで試す(シャフトは②の銘柄)
試打する時に、同じシャフトの長さ違いで試せる環境はあまりない。だから便宜上同じ長さのモデル違いで打ち比べることになってしまうのだが、本当は、自分が振りやすいと思う感じは「長さ違い」で試す方がわかりやすい。そして、長さを変えることで、つかまりや打点の集まり方がはっきり違うことも理解できると思う。
結果を変えるのは、意外に「長さ」である。
「そんなこといっても、長さ違いで試せるところなんてないじゃん!無理!」と思う人もたくさんいるだろう。確かにそれはそう。だから、私は実験用シャフトを個人で持っている。実験用といってもたいしたモノじゃない。自分が好きなシャフトの長いの(44.5インチ上がりになるもの)と短いの(44.25インチ)になるものの2本を、同じシャフトスリーブで持っているのだ。この2本をもっておけば、新製品の純正(45インチ以上)と合わせ、3つの長さで試せるのである。
例えば、タイトリストのドライバーを何代かに渡って使っていれば、必ず重複するシャフトやスペア的なシャフトが増えてくる。その中から1、2本をカットして長さ違いの実験シャフトにしているのだ。タイトリストの場合は今の所、SureFITスリーブになって以降、すべてのヘッドでスリーブの互換性がある。非常に試しやすいと思う。
ドライバーの進化というと初速性能や許容性が思い浮かぶが、もっとも大きく変わったのはシャフトスリーブの誕生である。「試す」ことにおいて劇的に簡単になった。昔は長さ違いを試したければ、3本ドライバーを買わなければならなかった。今は、ヘッドは一つ。シャフトは余ったものでよい。同じシャフトで揃わなくても、お楽しみとしてぜひ短めの実験シャフトを作ってみてもらいたい。そういうのも進化したクラブの活かし方、楽しみ方である。
何回もいうが、「長さ」は、ほんとに大事。そして、何より違いがわかりやすい。