不人気の再検証

カーボンヘッドの意欲作ビッグバーサC4ドライバーは2002年の発売だった。

最近、ヒロ本間のパーシモンヘッドのフェアウェイウッドを引っ張り出してきて、息抜きの球打ちで試したりしている。私がゴルフを始めた頃はメタルヘッドへのちょうど移行期で、最初に手にしたドライバーはミズノのMS-1パーシモンドライバーだったが、次に買ったのはウイルソンの正体不明の安いメタルだった。そのへんなメタルヘッドに替えて以来、パーシモンを使ったことはない。

考えてみれば、ゴルフを始めたばかりの頃にフェアウェイウッドなんて打てるはずもない。これまでのゴルフ人生で一度もきちんと打ったことがなかったのがパーシモンのフェアウェイウッドだったのだ。

メタルウッドの時代は小さいヘッドで中に発泡ウレタンが入っていた。打球音がボコっという感じだった。キャロウェイのビッグバーサメタル以降、ノンフォームでキン!という打球音がポピュラーになっただろうか。金属音がするとなんとなくボールを強く弾いている気がするし、ボコ!だとなんとなく初速が遅い気がしてしまう。とくにチタンヘッド慣れしていると、フォームありメタルウッドのボコ感は、なんとも飛ばせない印象になってしまうのだ。

パーシモンサウンドは、メタル的なボコ!でも、なかった。サウンド的には静音。ボールをつぶせている感触が際立ち心地よかった。伝わってくるのは音ではなく、フィール。高音ではなく低音なんだと感じた。

個人的には、音の整っていない打球音、割れたような金属音を聞くと、エネルギーの無駄遣いのような気がしてしまう。音を出すにもエネルギーが消費されているからだ。

対して静音というのは、エネルギーが消費されていない印象を持つ。パーシモンのフェアウェイウッドを打っていたら、なんとなく昔から自分の中にあるサウンドとエネルギーのイメージを思い出した。

そういえば、C4ドライバーもそんな感じだったな、と思った。当時在籍していたゴルフ雑誌で「知られざる打球音の正体」という特集をやった。その中で、高反発のゼクシオドライバーとカーボンヘッドのBB C4の比べをしたのだ。普通に打った時と、耳栓とヘッドホンで打球音が聞こえない状態で、ゴルファーは飛びをどう感じるか? そんな実験をやったのだ。

結果からいえば、打球音がすれば「ゼクシオのほうが飛んでいる!」と判断され、音がない場合は「C4の方が強く飛んでいる!」と判断された。距離的な結果も、C4の方が上回っていたと思う。

しかし、ゼクシオはNo.1ヒット。C4は売れず、ビジネス的にはキャロウェイ史に残る失敗作となった。今の時代だったら。今のゴルファーだったら。いや、今の自分だったらC4をどう思うのか興味があった。ネットオークションで比較程度のよい10度ロフトのものが見つかった。本当はUSバージョンのロフト12度か14度が欲しかったが贅沢は言えまい。何しろ送料込みで2500円なのだから。

音が悪い。打感が悪いとされた過去の遺物「C4」ドライバー。パーシモンのフェアウェイウッドと同じように、今の自分なら“心地いい”と感じるかもしれない。そんなふうに思いわくわくしている。

 

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在