地面がバウンスという感覚

朝はカチカチ、日中は逆にウェット。冬場のコンディションは変わりやすい

寒い朝はショートコースでアプローチをやってみることにしている。グリーンがカチカチ、グリーンサイドもカチカチな状況でそこそこの結果を得るためには「経験」が必要。アプローチは「イメージ」なしに成功は難しいのだ。

冬。凍りついた芝の上からウェッジを使うのは怖いという人も多い。だいたい、「ソールが地面に跳ねそう!」という。なんとなくわかる気もする。硬い板の間からウェッジでボールを打つのをイメージすると、ヘッドが潜らなくて確かにトップしそうな感じがする。凍った地面もそんな感じなのだろう。

実際、朝、カチカチの芝生からアプローチしているとわかるのだが、跳ねるのを嫌がって、鋭角なインパクトにならないようにシャローに打っていくほどダフリ、トップを繰り返す。ヘッドが跳ねてボールに届いていかないように感じる時もあるが、これはバウンスのせいではなく、単に相当手前をダフっているからだ。アップライトなウェッジをシャローにとイメージすること自体が、たぶんセンスなしだ(汗)

朝。上手く打てた時は、地面カチカチなほど「思ったよりもヘッドが走ってボールが飛んでしまう」感覚がある。いつもより、インパクトスピードが速くなるのだ。

冬場はリーディングエッジに近い場所により強い抵抗(キャンバー)を感じる。個人的には、だが。

そもそもウェッジのソールにつけられたバウンスは、ヘッドを上に跳ねさせるものではなく、振り抜き方向にヘッドを進めるためのもの。シャフトが短く、ライ角がアップライトなウェッジは、ダウンスイングからインパクトへのヘッド軌道が鋭角。ヘッドが地中深くに潜っていく角度で侵入してくる。その軌道をバウンスを早めに地面に当てることで振り抜き方向に転換させる。下ではなく「前へ」とヘッドを進めるのがバウンスの役割である。

地面が凍っている状態というのは、地面自体も「ハイバウンス」状態ということ。ウェッジでいつものようにソールコンタクトすれば、ソールのバウンス効果に、地面のバウンス効果がプラスされて、インパクトでイメージよりも速くヘッドが前に進んでしまうことになる。跳ねているわけではなく、イメージよりも「速く」進んでしまう。そして、いつもより飛んでしまう。これが上手く打てた時(バウンスが使えた時)ほどびっくりしてしまう、真相だと思う。

この経験をふまえておけば。

朝、カチカチのコンディションの場合、いつもよりヘッドが走って飛んじゃうなとイメージできる。それだけで、実はOKなのだ。ソールが跳ねるかも!なんて板の間的なイメージをして、ウェッジではないクラブで転がしに走ったりすると、ソールは跳ねない代わりに、今度はヘッドを刺したり、グリーンで全然止まらない!なんてことになる。グリーンサイドがカチカチならば、グリーン面だってカチカチだ。その状態でランニングアプローチを決めるのは、上級者でも至難の技である。

地面がカチカチな時は、下手な小細工をしないでいつものようにウェッジで打てばいい。ただ、普段よりちょっとヘッドが走っちゃうことをイメージして手前めから攻めていく。そうすれば大きな失敗はないはずである。

カチカチの時間帯が過ぎれば、今度はベチョベチョの時間帯になる。地面は一気にローバウンスだ。ソールのバウンス効果を強めないと今度はイメージよりも飛んでくれないということになる。それが冬のゴルフ場だ。

そんなことを考えていると、バウンスとはヘッドの振り抜きスピードを調整するための機能でもあるってことに気づく。カチカチの地面は、普段は感じないウェッジのバウンス効果を鮮明にしてくれるのである。

ソールを使う感覚を知るために、冬の早朝にウェッジでアプローチ練習をする。

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在