バランスを考える。その2

この記事は、前回のつづきです。

軽くなったけど、遠くに移動した重心。

今回は、なぜバランス(スイングウエイト)D-0が基準になったかを考えてみましょう。これには諸説ありますが、ゴルフクラブは経験則から生まれるものが多いので、測定器が浸透しつつあった当時に作られたクラブの中で、多くの人がちょうどよいと言われていたものを測定したら、このあたりの数字になったのでは?と考えています。

では、それを数値的に確認してみましょう。

D-0がちょうど良いとされ始めたころの重心位置を計算してみると、

長さが43インチと考えると、重心位置はグリップエンドからクラブの70%弱のところにあるようです。正直、あんまり意味のある数字には見えてこないですが、なんとなく重いけど、近くに重心があるなぁくらいで思っていただければ嬉しいです。

でも、結局、D-0になった直接の要因は、見えてきませんね。やはり、感覚的なものを数値化したという見方が正しいような気がします。

では、次は、今のドライバーと比較してみましょう。 先日の表をもう一度出しますと、

となり、重心位置は最軽量の280gの場合、先ほどの総重量380gのものより 14cm以上、外にあります。これを先ほどの言い方に変えると、軽いけど、遠くに重心があるという感じになるでしょうか?

これはどういったことが起きているかというと、各々のパーツの重量をドライバーで比較してみると良くわかります。

ヘッド以外のすべてのパーツが軽くなっているのがわかります。また、長さも大きな変化ですね! つまり、ヘッド重量はここ数十年あまり変わっていないのですが、シャフトやグリップの 重量が大きく変わっています。

そのため、総重量が減るのですが、ヘッド重量は大きく変わっていない状況で、グリップ側から、重量が軽くなっているため、バランスを合わせると、重心が外にいくということが起こっています

パーツ毎の重量が軽くなり、総重量が劇的に軽くなったことで、すごく恩恵を受ける方もいると思います。

総重量を軽くする理由は、軽い方が振り易いからという方が多いと思います。 力がなくなってきたからという理由の方も少なくないでしょう。でも、重心位置は、10cmも遠くになってしまいましたので、バランスを合わせただけでは、 もしかしたら、同じ振り感になっていないと考える方が妥当に思えます(個人的見解:重力という概念が入っていないので振り感は合っていないと考えています)。

バランス(スイングウエイト)という数値は、一見すると頼りになる数値なのですが、実は、このように総重量が大きく変わってしまうと、重心位置は相当遠くに行ってしまうのです。ぜひ、これは知っておいていただきたいと思います。

もちろん、それでも同じ振り感に感じる方もいらっしゃいます。実はそこが重要で、振り感は人それぞれ、そして、体力も人それぞれということなのです。感じ方はスイングによっても変わってくると思います。

ここまで数値のご説明をしてきたのに、最後に??になってしまいそうですが、実は一番知ってほしいのは、自分が振り易いと感じているかどうか、なのです。 簡単な例を挙げれば、重いと振り遅れますし、軽いと手先の動きが優先して、自分が思ったところに振れなくなります。タイミングよく、振れる“重さ”、“バランス”というのが必ずあり、今まで使ってよかったというクラブは、ちょうど良い“重さ”、“バランス”になっていることが多いのです。

もちろん、シャフトの柔らかさや、調子(剛性)というものの影響も大きいですが、まずは、このちょうど良い“重さ”、“バランス”を知ることが重要です。そのために、数値として抑えるために、バランス計を使うことは良いと思います。 バランス計は、重心位置を記すもの。そう割り切って使っていただけたらと思っています。

 

次回は、その「振り易さ」はどのように判定したらいいのかをご説明したいと思っています。

この記事を書いた人

三瓶大輔

三瓶大輔

Cultivator/ DAISUKE MIKAME
(しごと)
93年よりブリヂストンスポーツゴルフクラブ開発部に所属。主に計測評価グループで同社ゴルフクラブのほぼ全モデル(J’s、 TOURSTAGEなど)に関わりました。01年に同社ツアー担当として渡米、日米のトッププロとコミュニケーションをとるようになりました。03年後半からはアクシネット(タイトリスト)に移籍。総合契約選手を担当する傍ら、若手発掘の一環として有望な学生たちとの交流も始まりました。09年よりウェッジ・パター専任となり、スコッティ・キャメロン、ボブ・ボーケイの2大巨匠から多くのことを学んでいます。現在はその経験を活かし日本国内でボーケイの哲学を広めるため、国内で唯一となるウェッジフィッティングイベントを毎週末開催。これまで担当したゴルファーはのべ1,500人を超えています。
(じぶんのどうぐ)
自分の使う“道具”にも相当こだわっています。ゴルフ歴37年、ありとあらゆるクラブ、スペックをテストしてきました。その経験も加味して、自分なりにゴルフクラブの理想像をもっています。JGA ハンディキャップ最高+1.4。慶応義塾大学理工学部卒。