バランスを考える。

ゴルフクラブを選ぶコツ。

言葉の意味と感覚/バランス(スイングウェート)

みなさん、ゴルフクラブのバランスってどんな感じで活用されていますか?

ゴルフメーカーもクラブのスペックとして、ほぼ全クラブに関して数字を公開しています。それでは、バランスとはどんな意味を持っているのか、どんな数字なのかを今一度振り返ってみましょう。

現在、バランス(スイングウエイト)と呼ばれているものは、14インチ法というものを用いています。これは、グリップエンドから、14インチのところを起点とし、ゴルフクラブの重心位置までの距離と総重量を掛け合わせたものを記号と数字で表したものです。

なんのことやら?ですね(汗)

では、下の図をご覧いただくことで少しはご理解いただけますでしょうか?

本来は、総重量×重心までの距離(14インチからの距離)という数字なのですが、その数字だけだとわかりにくいので、記号と数字、たとえばD-0 というよな感じで表記したものです。

 

この14 インチという設定は、人間が重さを感じる場所がそのあたりでは?という経験則から生まれたものと聞いています。14 インチ=35cm強です。グリップが大体 30cm位の長さですので、グリップのちょっと下あたりが重さを感じやすい場所という意味なのでしょう。

 

数字としては、重量と距離をかけたものですから、いわゆる、モーメントに近い数字かなと思います。つまり、バランス(スイングウエイト)とは、人間の感じるクラブの振り心地を数値化し、それを簡易的に記号と数字で表したものということになります。

 

一般的に売られているクラブはこの中の D-0 という数字が主になっており、それより大きな数字だと“重い”(D-1、D-2など)それより小さい数字だったり、頭文字の英字が C や B とアルファベットが前に進んだりすると、“軽い”となっていきます。おそらく、皆さんの頭の中でも、D-0くらいがちょうどよく、D-5というと重い、C-9などと聞くと、軽いな~と思われる方も多いと思います。

 

このD-0というのを、もう少し数値的にどんな数字かを計算してみましょう。

 

計算で出てくる数字は、213.5インチ・オンスというものです。重量と長さを掛け合わせたものですので、これを我々のなじみのある cm・g に置き換えると 15,373.9cm・gとなりました。数字が大きいので、m(メートル)にすると、153.7m・gとなります。

 

なんだか、良くわからない数字ですね。では、上記の図のように、重心位置で表してみましょう。

 

総重量280g、300g、320gの場合の、それぞれの14 インチ法のグリップエンドからの重心位置は以下のようになります。

総重量が重くなれば、同じ数値になるためには、重心が手元側になり、軽くなれば先になることがお分かり頂けるでしょうか?

 

重心位置は、総重量が20g 変わると、グリップエンドからの距離が約3cm変わるという感じになります。なんとなくわかっていらっしゃると思うのですが、数値上はこのような移動が行われています。そして、大事なことは、この数値は、クラブの長さが関係ないということなのです。

上の数値さえ合っていれば、クラブの長さが、45インチであろうと、40インチでもグリップエンドから重心位置までの距離は同じということになります。

では、このバランス理論をご理解いただいた上で、次回は、どのように活用していったらよいかをご提案させていただきたいと思っています。

 

この記事を書いた人

三瓶大輔

Cultivator/ DAISUKE MIKAME
(しごと)
93年よりブリヂストンスポーツゴルフクラブ開発部に所属。主に計測評価グループで同社ゴルフクラブのほぼ全モデル(J’s、 TOURSTAGEなど)に関わりました。01年に同社ツアー担当として渡米、日米のトッププロとコミュニケーションをとるようになりました。03年後半からはアクシネット(タイトリスト)に移籍。総合契約選手を担当する傍ら、若手発掘の一環として有望な学生たちとの交流も始まりました。09年よりウェッジ・パター専任となり、スコッティ・キャメロン、ボブ・ボーケイの2大巨匠から多くのことを学んでいます。現在はその経験を活かし日本国内でボーケイの哲学を広めるため、国内で唯一となるウェッジフィッティングイベントを毎週末開催。これまで担当したゴルファーはのべ1,500人を超えています。
(じぶんのどうぐ)
自分の使う“道具”にも相当こだわっています。ゴルフ歴37年、ありとあらゆるクラブ、スペックをテストしてきました。その経験も加味して、自分なりにゴルフクラブの理想像をもっています。JGA ハンディキャップ最高+1.4。慶応義塾大学理工学部卒。