すべて一点モノ

「8802」はなぜ数々のトッププレーヤーに使われたのか。とても興味があってここしばらくはコレばかり使っている。ただ、一本ではない。何本かの60年代製「8802」、そして90年代の復刻版、ロジャー・クリーブランドが再現した「クリーブランドクラシック」も手元にある魅力的な一本だ。

似たようなパターをある程度長い期間、気負わずに試していると、だんだん“お気に入り”がはっきりしてくる。願望的には63年製のヤツに落ち着いてほしいのだが、どうやら結果がよくて、打っていて楽しく、エースになりそうなのは90年代の復刻版なのだ。シャフト/グリップパーツを取るためのジャンク品としてフリマサイトで安く買ってあったヤツ。いちばん、「これはナイ」と思いたかった(汗)ものだった。

90年代の復刻版は正直、市場で何も評価されていない。60年代のオリジナルに忠実ではないため、コレクターからは“駄作”扱いされている。だから中古の流通価格も5000円以下だったりするのだ。

でも、自分にはコレが合っているようだ。

ちなみに、「8802」の復刻版ならなんでもいいと言っているわけではない。たまたま手元に来た“この一本”が自分には合っていた、というだけである。コレは60年代の高価なオリジナル「8802」でも同じだ。数が少なく希少だから高いだけで、60年代は今よりもさらに製造、組み立てが粗雑。同じ刻印のパターでもまったく違うモノであると思った方がいいだろう。オリジナルがすなわち名器と思ったら大間違いだ。

最新のドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、パターもすべて同じだ。性能が同じになるよう注意深く、精密に作られているが、だからと言ってそれで同じ使い心地になっているかは別問題だ。個人的な感想だが、同じスペックのクラブでもまったく同じ使い勝手のモノは一本もないのではないかと思う。

新しいモデルを買うために売却しちゃったクラブを「やっぱりアレの方がよかった」と、再び買い直しても思ったほどよくなかったりする。私の場合、買い直して「やっぱコレだわ」と思ったことはない。結局、売却しちゃった「アレ」でなければならんのだ😅

だから、今、結構気に入っていて長く使っているクラブがあるならば、売らずに手元において欲しいと思う。売ってしまってから「やっぱりアレの方がよかった」と思っても、もうアレは還ってはこないからだ。同じモデルであれば、使い心地が同じわけではない。ゴルフクラブはすべてが一点モノ。一期一会である。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在