ロングアイアンとは

かつてのアイアンは、番手刻印比較でいうなら今よりもロフトが寝ていた

全英オープンがあると、ユーティリティアイアンがにわかに注目を集める。風が強いから、低く打てて寛容性の高いギアがほしくなるのだ。風が気にならないなら、いつものように高さが出せて止めやすい5番ウッドでいい、というわけ。

ユーティリティアイアンというのは、そもそもミスに寛容なドライビングアイアンのことである。ツアーでの認知はフォーティーンの『HI-858』だろう。『HI-858』は元々はアマチュア向けの中空アイアンセットだが、ツアーではその#2、#3が単品として重宝された。セットで使えばアイアンと呼ばれるが、単品使用ならユーティリティである(笑)

まぁ、ドライビングアイアンと言ったところで今のゴルファーにはピンと来ないだろう。今やロングアイアンすらバッグに入れるゴルファーが少ないのだから。

ではでは。いったい何を持ってしてドライビングだのロングだの、ミドルだの、ショートだのと区分しているのだろう? 多くの場合は「番号」そのものなんだろうと思う。最近は1、2、3、4と刻印されたアイアン番手があまり作られていない。だからドライビングアイアン、ロングアイアンは絶滅したと言われる。

「ロフト」で区分される場合もある。例えば5番でロフト21°はかつての3番であるから、今もなおロングアイアンは生き続けている、ということもできる。よく飛ぶ5番と名を変えて、というわけである。そういう人も結構多い。

私は「長さ」で区分したがるタイプである。37.5インチ〜39インチの長さがあればそれは「ロングアイアン」と言っていいだろうなぁと。そもそもロングアイアンのロングって何だっけ? 長距離を打つからロング? それとも「長い」からロング? 今どきアイアンはカーボンなら5番で38インチを超えてくるので十分に「長い」。私的には「ロング」なアイアンわけだ。

「長さ」で区分したら、まだまだロングなアイアンはたくさん作られているんだよね。「ロフト」の面から見ても、絶滅とはいえない。消えたのはアイアンヘッドに刻まれた「表記」「数字」だけなのだ。

たしかにゴルフクラブの1番、2番、3番、4番は「数字」的に、難しさが先に立つから、あえてヘッドに刻まない方がいいだろう。番号なんて刻まず、ロフト表記だけで十分だ。

アイアンに限らず、ゴルフクラブの1番、2番、3番、4番の難しさ。それは「長い」コトにあるのだろうが、それはあまり言わない方がいいんだろうなぁ。なぜならば、一般的にアマチュア用ほど「長くなっている」傾向があるから。

ロングな数字のアイアンは消えても、ロングな長さのアイアンは消えていない。そのことくらいは言ってもいいだろうか。番手数字が何番でも、ロフトが何度でも「長い」ものは「長い」。長い道具を使うときには当然、「工夫」と「注意」と「覚悟」が必要である。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在