倶楽部からワングリーン改修設計を委託されたのはドナルド・ロス設計コース改修の第一人者であるブライアン・シルバ。デザインセンスもさることながら、コミュニケーション能力に長けた素晴らしい人物であり、コミッティーからの要望への対応力や、スタッフへの気遣いには完全に脱帽だった。そんな彼が指名した世界一の現役シェーパーである売れっ子が、偶然このタイミングで来日できたのも奇跡のひとつだろう。
正月明けすぐに始まった18ホールのグリーン造形は桜の咲くころ大方仕上がった。ブライアンとの信頼関係は相当なものなのだろう。図面にないバンカーが出来上がってみたり、グリーンの微妙な高さやアンジュレーションは現場で微調整されながら我孫子の土地に馴染んでいった。ベントの種子をまき、芝を張り、秋には無事に仮オープンを迎えることができた。
赤星六郎の設計したコースの改修プロジェクトに参画できるだけでも恐れ多いことなのに、一流設計家の仕事を目のまえで拝見し、この笑顔に絆されながら竣工まで立ち会えたことは奇跡の連鎖としか言いようがない。偶然巡り合ったスポルディングの古道具に刻まれた名前は1968年のマスターズ勝者、ボブ・ゴルビーであり、その古道具を左手に持ち微笑んでいるのがシェイパーであり共同設計者である息子のカイ・ゴルビーだ。
Go Matsuyama!! とメッセージをくれたカイとのストーリーはまだ始まったばかりである。