愛着を作る

 

 

コースデザイン関係の知人が持ってきてくれた札幌GC輪厚Cで剪定された「オンコ」の枝。

木のたまご、木の「栗」と意外に作業を楽しませてくれる「イチイ(オンコ)」の廃材である。

GW中に相談を受けた。“こういう廃材でグリーンフォークの柄を作れないか? 作ってくれる先にアテはないか?”ということだった。技術的にできる先はたくさんあると思うが、たいてい「やらない」だろうなと思った。理由は単純でやっても儲からないからだ。

どうやったらできそうか、オンコ材で作ってみた。親指を乗せる窪みも作る。制作時間:4時間強

モノの値段には相場がある。いくら作るのに手間暇がかかっていても、ゴルファーはグリーンフォークに十万円は出さない。2000円くらいまでだったら欲しいけどなぁ、という感じだろう。それだと本職の方に頼むことはできない。工賃だけで予算オーバーだ。最終価格に上限がある以上、できるけどできないことが多いのだ。

裏面。親指を乗せやすいように本体より大きく、左右非対称なのがこだわりといえばこだわり

量産できるかどうかはおいておいて。実際に作ってみて、意外にいいモノだと思った。使いやすいし、なによりも愛着がわく。

愛着。

第一に素材にまつわるストーリー(ゴルフコースで出た廃材)がある。そして、自分で作ったという事実がある。最後に使いやすそうだと思う機能面。この3点がそろっているからこそ、愛着は生まれる。出来たモノを「買って」きて、このモノにここまで愛着がわくことはないだろう。

モノを買って、使う。それもいいが、モノを「作って」、使うと別の感情がプラスされる。それが何かの道具なら、使ってみたくなる。例えば、私も作ってみたグリーンフォークを使ってみたくて仕方がない。

グリーンフォークに愛着がわくと、使いたくなるのだ。めんどくさいピッチマーク補修をやりたくて仕方がなくなる。そういう変化を起こせる可能性がある。1時間くらいで完結できるマイ・グリーンフォーク作りのWork Shopをゴルフ場でやったらよいかもなぁと思ったGW最終日だった。

 

 

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在