少欲知足

まいったな。聞こえはしなかったが微笑みながら囁いたようにみえた。この男がゴルフを語ったら右に出るものはそう居ない。

読み切れなかった僅かな芝目か不陸にボールはけられカップの横を随分くだっていった。寄せるつもりならば別のラインに打ち出すが男は入れにいったのだ。

僅かばかりのメンバーが自前で芝草管理をしているゴルフコースだから、トーナメントのようなセッティングが叶うことは無い。それは優でも劣でもなくて、あるもので楽しむ知恵だ。

一打をおろそかにしないこと、あるがままの自然を受け入れること。ゴルフゲームを楽しむのに必要なものはそれだけだ。

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー