アナザースカイ/アナザーゴルフ。

木々の葉が落ちると、空が広くなる。ゴルフ場にいるとそんなことを感じます。

「ジャンプ大会になってしまう。」

なぜ、いまなのかと思いますが、NHK BSプレミアムで「浅田真央・アナザーストーリー」という番組の再放送をやっていました。平昌オリンピックの前に放送した番組のようです。

冒頭に書いた「ジャンプ大会になってしまう」というのは、ソチオリンピック(2014)フィギュアスケートで金メダルに輝いた、アデリナ・ソトニコワ選手のコメントです。彼女はまだ二十歳そこそこと若いですが、一旦燃え尽き症候群になってしまったのか、平昌には出場しなかったようですね。

ソトニコワ選手は、自身が金メダルを獲ったソチからの4年で、フィギュアスケートはジャンプ競技みたいになってしまった、と寂しそうな表情をしていました。彼女は番組中、トリプルアクセルに挑み続ける浅田真央の姿勢をリスペクトしつつ、なによりも浅田の美しく、豊かで優美な表現力に大きな憧れを抱く、といっていました。それこそがフィギュアスケートに欠かせないものなのだと。

それを見ながら、なんとなくゴルフのことを思いました。決してドラコン大会みたいにはなってほしくないなぁ、と。

フィギュアスケートに話を戻しますと、番組中、男子のプルシェンコ氏はこんなふうにいっていました。「バンクーバーの時、トリプルアクセルを2回も成功させた真央が銀メダルに終わったのはおかしい。最も難しいジャンプを決めた選手が勝つべきだ。フィギュアスケートは芸術ではない、スポーツなのだ」。言葉の切り取りになっちゃいますが、このコメントだけ聞くとやはりジャンプ大会?という感じも受けます。現在、ソトニコワ選手は引退したプルシェンコ氏のコーチングを受けているそうです。大丈夫なのかしら?と少し思ってしまいました。

アナザーストーリーと題して、浅田真央の凄さを周囲の関係者の話から浮かび上がらせる内容はとても面白かったです。そして、同じように浅田をリスペクトしているソトニコワ選手、プルシェンコ氏が一方はその芸術性に、もう一方はそのアスリート性に賛辞を送っていたのがとても興味深かったです。

ゴルフも、きっと。両面あるのだと思います。プロツアーを見ればアスリート性が際立ち、400ヤード飛んだ!58で回った!あわやアルバトロスのスーパーショット!と、魅せるプレーにどうしても注目が集まります。

それも、ゴルフの一部だと思います。

一方で、我々のそばにある、別のゴルフもあります。倶楽部ライフとか、仲間との時間とか、美しい景色とか、清々しい空気感とか、道具を愛する気持ちとか。文化的な側面があるのもゴルフの奥行きです。

かつて浅田を指導したタラソワコーチはこんなふうにいっていました。「競技を引退してもスケートは辞めてはいけない。それが代わりのいない偉大なスケーター、浅田真央の義務」だと。競技は、フィギュアスケートにとっても側面、一部なんですね。スケートの魅力はそれ以外にもある、ということですね。

夕暮れ。フェアウェイに伸びる蔭と逆光に透けて輝く紅葉の風景に、ゴルファーであることの喜びを感じました。

この先、どちらから見るか、ということがとても大事だと思います。また、年齢に応じて楽しみ方を変えていく、という工夫も必要かもしれません。もちろん、それは個々が考えること。様々な嗜好を受け入れる、度量の広さ、奥行きがゴルフにはあると思いますので。

心持ち一つで、空も、景色も違って見えるように。ゴルフの愉しみも、きっと無限。フィギュアスケートのサイドストーリーを見て、ゴルフ奥行きを想った夜でした。

 

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Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人