石川遼プロが開幕戦で9番アイアンの代わりにロフト43度の「ウェッジ」を入れて出場した!と話題。PGAツアーでもピッチングウェッジはすでにウェッジシリーズの46〜48度になってきているから、石川プロが9番をウェッジシリーズにしたところでとくに驚きはしない。ウェッジが5本になろうが「さすが」と思うのみである。
なぜ、男子プロはアイアンのPW や9番ではなく、ウェッジシリーズのモデルを選ぶのか? 実は、答えは明白。
“ウェッジはスピンコントロールに特化したクラブ”だからだ。つまり、ウェッジシリーズにした番手までは飛距離よりもコントロールを重視している、ということ。多くのプロにとってPWが、石川プロにとっては9番までが飛距離とグリーン上でのボールの止まり具合を精密に管理したい領域なのである。
この手の話になるとロフトにばかり注目が集まってしまい、アイアンとウェッジで基本的な作りが違うことを、意外に、忘れがちである。
ご存知の通り、アイアンとウェッジでは形状やソール(グラインド・バウンス)のあり方が違うし、フェース加工(機械加工された平滑な面)とスコアライン加工(鋭く精密な溝)によるスピン性能に明らかな違いがある。また、長さや重さのフローも違う。
簡単にいえば、アイアンはフルショット主体で使うことを、ウェッジはコントロール主体で使われることを、念頭において開発されたクラブであることが、最も大きな違いである。
スピンコントロールの向上は、より遠くに飛ばすことにはつながらない。逆に飛びすぎを制御することに秀でた性能といえる。ウェッジはアイアンよりも、距離感を合わせることに長けている。それがウェッジの仕事だ。
9番もウェッジラインにするのがトレンドとなるのか? これは男子ツアーではあり得る話。一般的には、どうだろう。やっぱり、9番でも「もっと飛ばしたい!」と思っている人のほうが多いのではないだろうか。