処分品の中になんとなく捨てがたいヘッドカバーを見つけた。プロギアがスタートして間もない頃のクラブ、その付属品だった。
インスタに写真を上げたら、関係者らしき人から書き込みがあった。
「これが各社がヘッドカバーを付属するきっかけになったような気がします」
ご存知の方も多いかもしれないが、80年代まではクラブにヘッドカバーは付属していなかった。1、3、4、5的なセットで、ニットやアクリル、PVC素材の別売品を買うのが普通だったのだ。メンバーシップコースでは、キャディさんがメンバー用に名前入りのニットカバーを編み、プレゼントする文化があった。プレゼントといってもメンバーもきちんと謝礼を渡した。内職仕事として成立していたのだ。
今回、目に止まったプロギアのニットカバーは当時は先進的であり、斬新だった“カーボンヘッド”を守るためのものだった。新しいゴルフスタイルを提案する意味もあっただろうが、今見ると、クラブに対する愛情、そして温もりを感じる。
米国では、テーラーメイドがツアープリファードメタルで最初に純正ヘッドカバーを付けたと聞いたことがあるが、それはもしかしたらあるいは日本からの提案だったかもしれない。
純正ヘッドカバーは一時、非常にゴツゴツとした嵩張るモノになったが、今はたいていスリップオンタイプのシンプルなモノになっている。私はゴツい純正ヘッドカバーが苦手で、ヴィンテージタイプのヘッドカバーをオリジナルで作り、売ったりするようになった。大手メーカーがそれ的なモノになってきたので、手出し無用と作るのをやめたが、モノ作りのパートナーだった木の庄帆布では、今でもクラシカルなレザーヘッドカバーを展開している。気になる方はぜひ探してみていただきたい。
そして、今でもシンパシーを感じ、リスペクトしているのは、イリアックゴルフだ。ここが細々と始め、PGAツアープレーヤーに浸透させたことが、大手メーカーのヴィンテージ風純正ヘッドカバー化のきっかけを作った。今は似たようなブランドが乱立してしまっているが、イリアックはやはり特別だ。作り手の想いが製品に乗っている。
ヘッドカバーは大切な道具を守るもの。ソフトに包み込んであげたい。