セントアンドリュースをホームコースにする倶楽部は13ある。セントアンドリュースには世界的に有名なオールドコース含め6コースあり、いずれも今ではパブリック運営だ。ちなみに旅ゴルファーのためにパブリックのハウスもあるが倶楽部ではない。ジャケットがどうとかネクタイがどうとか面倒くさい、そういうゴルファーが日本には多くいるが、そもそもゴルフコースの決め事でなく倶楽部の決め事である。階級制度が日本より厳しい国である。倶楽部に所属するということは日本より厳しめのしきたりがあっても不思議ではないだろう。
倶楽部にはそれぞれ伝統があって、受け継がれてきた思想があって、大切に守ってきた文化がある。そのことに憧れを感じ、誇りが持てるものだけがメンバーとなり得るのが倶楽部のひとつのスタンスだ。コースで球を打ちたいだけであれば、どの倶楽部に所属するかなんて大した問題ではない。総本山と称されるR&Aが一番格好いいと思うのはちょっとした勘違い。倶楽部はお洒落で入るものじゃない。
優勝カップにキスをしている?とさえ勘違いされていそうなクラレット・ジャッグが生まれたきっかけの、1870年大会のスコアカードが飾ってあるこのハウスは1843年創設のセントアンドリュースクラブ。まだオールドコースが全英会場に選ばれるまえのこと。この位の歴史観を持てる者だけがこの俱楽部のメンバーになり得るのだろうと思う。