元ゴミのおはなし

年輪を数えると30年ちかいイチイの木だったことがわかる。日当たりはあまりよくない場所で一生懸命大きくなったのだろう。

木を触っているとなんだか落ち着く。木のたまごに出会って、もう8年くらい経つだろうか。最初は売っているものを買っていたけど、すぐに身近で伐採されたゴミになる伐採木で作るようになった。出自が明らかな「材」で作ると一際愛着がわくものだ。

様々なゴルフ場のメンテナンスで出た、「木のゴミ」を、少しずつ持ってきてくれる友達もいる。いわゆる名門コースで倒れたり、間引かれたした由緒正しいゴミだ。これを気持ちに余裕があるときに、木のたまごに加工していく。

赤芯があざやか。樹皮の下には水分を蓄えた皮下脂肪的な層がある。この層の保湿効果で芽吹いた新芽も成長できるのだろう

このたまごの場合、上が北、下が南だろうか。輪切りにして時間をかけて削っていけば、「ゴミ」も手放すことのできない癒しの「愛用品」になる。まぁ自分以外にとってはゴミはゴミのままかもしれないけれど(笑)

この木には若い枝がついていた。せっかくなので丸太のまま軒先に埋めてみた。前日の雨でいちだんと元気になったような気がする

イチイの木は、北海道ではオンコというらしい。この丸太は北海道で切られたものだから、今回作ったのは「オンコのたまご」だ。

オンコの若枝が千葉の軒先で成長できるのか。これもまた楽しみだ。たまごの片割れが生き存えて赤い実をつけるまで。その過程を見てみたい気がする。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在