菜園に咲き乱れるコリアンダーをつみとり和室に生ける。青空のしたでみる葉も花も美しいけれど、薄暗い部屋で一茎をみつめると、また違う美しさが見えてくる。
自然界のデザインは不思議なくらい完璧で、人間がデッサンから起こしたものと違い無駄がない。遠景も近景も接眼も、いずれもそれなりの美しさがあり、雑が無い。
ゴルフコースを同じように切取り眺めてみると、どれ程優れたところでも結構な無駄や雑がある。人が手を入れれば入れるほど、その確率は高くなる。数は少ないけれど摂理に倣いデザインし、摂理に倣い手入れをし、摂理に馴染み育てられたコースは美しい。球を打たずとも、独りであっても散歩が退屈でない景観、そんなゴルフコースが美しいと思う。
暗室に生けたコリアンダーを静かに眺め、ゴルフコースの美のエッセンスを考える、そんな時間もまた愉しい。