美のエッセンス

菜園に咲き乱れるコリアンダーをつみとり和室に生ける。青空のしたでみる葉も花も美しいけれど、薄暗い部屋で一茎をみつめると、また違う美しさが見えてくる。

自然界のデザインは不思議なくらい完璧で、人間がデッサンから起こしたものと違い無駄がない。遠景も近景も接眼も、いずれもそれなりの美しさがあり、雑が無い。

 

ゴルフコースを同じように切取り眺めてみると、どれ程優れたところでも結構な無駄や雑がある。人が手を入れれば入れるほど、その確率は高くなる。数は少ないけれど摂理に倣いデザインし、摂理に倣い手入れをし、摂理に馴染み育てられたコースは美しい。球を打たずとも、独りであっても散歩が退屈でない景観、そんなゴルフコースが美しいと思う。

暗室に生けたコリアンダーを静かに眺め、ゴルフコースの美のエッセンスを考える、そんな時間もまた愉しい。

 

 

 

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー