素材は天然木。選択肢の与えられたプロでさえ納得のパーシモンブロックに出会えることは極稀である。職人に削りを依頼し、納得の造形になる、そこまで辿り着いてもホーゼル切削での失敗もある。最終形に辿りつける確率はとてつもなく低い。だからこそ、やっと巡りあえた相棒を大切にすることは、ひと昔前は当たり前のことだった。
古くなったニスを剥がし塗りなおす、フェイスインサートを入れ替える。球筋をイメージしながら削りなおすこともある。ドリルで穴をあけ軽くしてみたり、鉛を入れてバランスを整えてみたりする。そうやって相棒との関係を作り上げていた先輩の言葉が大好きだ。〝打っているうちにそこが芯になる〟
スコア重視のゴルファーには不向きな道具かもしれないけれど、粋な遊び、として一度くらい経験してみても損はしないかもしれない。平成が終わるこの年に、昭和の道具から学べることはまだ沢山あるはずだ。