ゴルフメーカーでは、新製品にプロの使用クラブが切り替わったことを「スイッチ」という。スイッチがスムーズに進むモデルもあれば、難航するモデルもある。いつもスイッチがうまくいくブランドもあれば、なんとなくいつも苦戦してるように見えるブランドもあるものだ。
スムーズにスイッチが果たされるゴルフ道具とはどんなものなのだろう。
それはゴルフメーカーがいうように革新的に進化し、前モデルを大きく超えたモノなのだろうか?
前のモデルと“明らかにちがう”モノなのだろうか?
我々は“大きく変わった”道具を求めるが、考えてみれば、まるで別モノのように変わってしまった道具になど、すぐにスイッチすることはできない。とくにうまい人たちはそうだ。
スムーズにスイッチが果たされるゴルフ道具とは、実は振ってる感じや構えやすさ、打球音などが“あまり変わっていない”ものなのではないかと思う。いつもと同じような感じだけど、打球を見ると確かにポジティブな進化を少しは感じる。そういうものなのではないだろうか。
スイッチがうまくいっているブランドは、そのへんが絶妙にうまい。変えないところの方が多いのに、デザインや名前などでものすごく変わったように見せるのだ。スイッチに難航するブランドは、まさに前作とテイストをガラリと変えてしまう。性能を進化(向上)させるのではなく、性格を変化させてしまうのだ。
いい道具ほど、変えてはいけない部分が増えてくるものだ。我々は常に「どこが変わったのか?」という視点で新しい道具をみてしまうけれど、実際は“変わっていない“ところに道具の本質がある。常に、そこを正しく評価したいと思う。
信頼を裏切らないモノ作りとは、大きく変えないことである。だからスイッチがスムーズに進むのだ。使う側も「変わらないこと」を喜ぶべきだ。