贅沢なこと

これからはタイムパフォーマンスが大事だ、なんて言葉も略されてタイパだよね、なんてされてしまう時代になった。そもそも人間は愚かで怠惰な猿だから仕方ないのだけれども、簡単便利の略式はそれを助長する。虫も微生物も動物もスイッチポンの簡単便利な生活は営んでおらず、地球上の命はみなそれなりに摂理にそって慎ましく生きている。

湯を沸かし、茶を入れるだけの火をおこす。薄暗い場所を照らし、手先を暖める炎を見ていると、不思議と心まで温まる。遠赤外線がきいているのかわからないけれど、心の奥底のほうまで温まる。爺さんと火の番をしていたころのことを思い出し、遠い昔のあれこれを思い出しながら、茶を飲んだ。

スイッチポンで簡単便利になったような気がしているけれど、物理的には誰かがどこかで働いている。そんなことを考え思い出すために、忘れ去られたような昔なりのやり方で時間を過ごせることは贅沢だなと、この頃思う。

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー