畳に座り、茶碗を手に持ち、おもさと温かさを感じる。普段の生活が西洋染みたとしても、まだどこかに残る日本人としての感覚を懐かしんでみたりする。日々目にし耳にする落ち着きのない音や言葉に違和感を感じることもあり、小さく暗い部屋にこもることがある。忘れかけていた余韻や余白のなかに静寂の美を感じたりすることで、落ち着きを取り戻す。
丹田を意識しながら静かに息をしていると、自身が空間に溶けてくるようになる。日頃の雑をすべて吐き出してから見る桜、それはそれは美しい。儚いからこそ美しい、私はこの頃そう思う。