フィッティング・オブ・サウンド

パターのフェース面に芝が噛んでいる。先日のラウンドの痕跡だ。パットの前にちゃんとボールをピックして拭いていないとこうなる(笑)

この写真を撮ったのは、そういうことが言いたいからではない。芝が噛むほど削りが深い、ということをお見せしたかったのだ。

フェースのミーリングは、フェース面を平らにするために行われるもの。削り出し製法の根幹部である。その際、回転ドリルの掘削痕が円状になって残るが、これが実はフィーリングに大きな影響を与える。削り痕があるかないか。削り痕が深いか浅いか。削り痕のエッジがシャープか否か。ミクロの世界の話だが、これが打球音の大きさと球離れのスピードに大きく関わってくるのである。

【打球音】は、フェースに掘削痕がついていない方が大きくなる。その理由はボールの接触面積が大きいから。タイガー・ウッズのニューポート2GSSのフェースはほとんどミーリング痕がないので、比較的大きな音がする。ヒット感が得られやすいフェース状態だといえるだろう。一方、私が使っている写真のパターのように掘削痕があり、しかも深いとインパクト音は比較的小さくなる。

【球離れ】の感覚は、フェースに掘削痕がついていない方がゆっくりに感じやすい。掘削痕がしっかりあるタイプは逆に球離れが早く感じる。これも接触面積の違い。接触面が面か点か。そういう違いになってくる。

 

タイガーモデルのように、ミーリングしているが掘削痕が薄いタイプは「打球音がしっかりするが、初速は遅めで飛び過ぎる怖さがない」。私の使用パターは「打球音が静かな割に初速が速く、実は距離が出やすい」タイプだということができる。

パットの打球音はボール表面の状態でも大きく変わる。ボールの影響、パターフェース状態(素材やテクスチャ)、厚さ、フランジの厚み、面積、、、様々な掛け合わせで打球音と球離れが変わってくる。逆にこれらをコントロールすれば「打感」をデザインすることもできる。

そして、パターフィッティングの重要な要素が「打感」を好みに合わせることにあるのだ。ウッズが私のパターを打ったなら、音を欲しがって強くヒットしてしまうかもしれない(笑)

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在