小さくないよ、適正だ。

モックアップをハンドグラインドで手直ししています

ゴルフの第一打はどうあればよいか。

知人が今、自分で使うためだけにチタンヘッドのクラブを作っています。市場にはたくさんの最新モデルが出回っていますが、残念ながらその中にはお眼鏡にかなうモノがなかったそうで(汗)

そこで質問です。いわゆるドライバーに求められる機能とはなんでしょう。いや、あなたがドライバーに求める機能は? と尋ねたほうが単刀直入ですね。

飛距離が出せること。ミスヒットに強いこと。

おそらくですが、これがドライバーに求められる2大ニーズだと思います。すべてのゴルフクラブメーカーはこのニーズを満たすために日夜研究し、毎年新しいモデルを発売しています。

では、冒頭の知人に同じ質問をしたら、どう答えるでしょう?聞いてみました。

「ゴルフの邪魔をしないこと。他のクラブとつながりがあること」

そういう目的のために、ティショットで使うクラブが欲しくて、今、作っているわけです。ちなみに、飛びはとくに望んでいないといいます。

手のひらに収まる大きさですね

飛ばなくていい、というわけではなくて、自分の力量以上の飛びは手に入らない、だからそれを道具に望んでも意味はないといっているのです。それよりも、扱いやすくて思ったエリアにポン!と打てて、次に使うクラブも同じようにポン!と打てることのほうが重要。最終的にはいかにストレスなくパッティングをするか、それがゴルフでしょう? というのです。そして、パットが終わったら、またすぐにポン!とティショットを打つ、その繰り返しだと。そういう思いが、ゴルフの邪魔をしない道具、という表現につながるんですね。

今、宮里優作選手が260ccのドライバーを試しているようですが、それにもクラブ同士のつながり、というキーワード、意図があるようです。近年、ドライバーの飛距離性能は増してきましたが、結果、他のクラブとのつながりが悪くなってしまった面もあると。それを飛ばしの弊害、代償ということもできると思います。

ゴルフが誕生して700年くらいでしょうか。その長い歴史の中で、ドライバーのシャフトがこんなにも長く、大きなヘッドになったのはここ20年くらいの話です。歴史からみれば、ほんのわずかな期間の、突端のできごとです。これから様々な検証がされる中で、ゆり戻し的な動きが生まれることも十分にあるでしょう。その一つの表れが、知人の作っているヘッドや、宮里選手の試す260ccヘッドであると思います。

でも、何が正解かなんて、ひとつに決められはしないのです。大事なのは自分がどんなゴルフをしたいかであり、そのためにどんな道具が必要なのか、と考えること。そして、その求めに応じたモノ的な受け皿がきちんとあること。それが選択肢です。

カタチを整え中のモックアップを見ると、小さいなぁと思いますが、別に小さいヘッドを作りたかったわけじゃないそうです。ティショットギアはこうあってほしい!という願いから色々と考えていったら、結果、主流のドライバーよりかなり小さくなった、それだけのこと。狙いに対しては、あくまでも「適正」な大きさなのです。

大きさのことばかり書いていると、

そんな大きさなんかより、重さとか、ロフト、何より重心設計とか、言えないようなこととか(笑)、大事なポイントは他にいっぱいあるでしょ、と怒られそうです。

本題に戻ります。

ゴルフにおいて、最初の一打はどうあればよいのでしょうか。

すごく遠くにボールを飛ばせればOKなのか。あるいは次のショットをポン!と打てる場所にボールをしっかり止め置くことができればいいのか。考え方は人それぞれ、そしてそれに合う道具もまたそれぞれです。さて、自分はどうだろう?と考えるのも愉しいものです。私は、遠くに飛ぶと、時にボールがどこかにいってしまうので、あそこらへんに打つ!ができるクラブが欲しいと願っています。そういう意味では知人のこのクラブ、欲しいです! 今のところ「売る気はない」そうですが、そういわれると益々……(笑)

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在