会社を辞めて、いまの小屋事務所を借り受けた時、鍵を束ねるキーホルダーが欲しいと思った。特殊な環境ゆえ、小屋に来るまでにいくつか鍵が必要な時間帯があり、大小合わせていくつもの鍵持ちとなったのだ。それを一個たりとも無くさずに持ち歩くためのキーホルダー。ちょうど彫刻機をいただいたタイミングだったので、練習がてら自分で文字を彫った。CLUBER BASE 101。建物は一棟しかないが番号があった方が、キーとしてはサマになると思ったのだ。
神戸ゴルフ倶楽部を開き、日本ゴルフの父と呼ばれるアーサー・ヘスケス・グルームが、六甲山に建てた最初の別荘の名前が「101」であったことは後になって知った。なんとなく悪い気はしなかった。
グルームの別荘に集まる仲良し4人による、たわいもない会話。「ゴルフをしてみようじゃないか」となって、六甲山頂に手作りの4ホールを開いたのが日本におけるゴルフの始まりだ。1901年のことだったという。
「101」棟から生まれた日本のゴルフは、2021年で120年を迎えた。
今、この小屋を事務所としてだけではなくショップとして開放しようかと考えている。店の名前は決まっている気がした。もちろん、「101」だ。ここへ来た時からそう決まっていた気がする。101で生まれたたわいもない会話から、またゴルフの「何か」が始まればいいと思う。