なかなか面白いよ、いつも読んでいるからね、書き続けてください。そう仰って下さった数少ない人だった。実名での執筆はこっぱずかしく、何時辞めようかと考えることも度々あった月刊誌への寄稿。尊敬する大先輩からその言葉を頂戴したときに、書いていて良かった、そう心から思った。当然だがインテリジェンスのある大先輩の文章とは比べ物にならない稚拙なものであり、思い付きに近いものだけど、励ましてくれた先輩の言葉へのお返事に嘘はつくまいと書き続けている。
ゴルフに関する著述に関するなかで大塚和徳さんほど自身の経験と見識でブレることなく文字にされた方はいないと思う。現代文の日本語でゴルファーにコースの面白さを説いた数少ない方だろう。デザインも歴史も文化も含め、余すことなく言葉にされた著書は専門家にも教科書的存在であろうと思う。紙に刷られた文字の最後は、月刊ゴルフマネジメントにあるゴルフ薀蓄ばなし『これくらいは知っておこう/第142回 複数設計家の協業』かもしれない。
あれからゴルフをしていないんだ。珈琲を飲みながらポロっと口にされた言葉だった。2016年9月末にご一緒頂いた横浜CC改修後の視察が最後のラウンドだったかもしれない。持病をお持ちだったこともあり、まだ暑かったあの日の歩きは相当堪えたのかもしれない。
米英文化の違い、ゴルフの大切なこと、沢山のことを教わった大先輩がつい先日他界した。残念であり、悲しいことであるが人間の命には限界がある。そのことも最後にまた教えて下さった。感謝。
~心よりご冥福をお祈り申し上げます~