ゴルフっぽさ

インパクトで生じた方向性のブレ。対空時間が長いほど最終的なブレ幅が大きくなってくる。飛ぶ、キャリーが伸びるというのは常にブレ幅が大きくなるリスクとともにあるわけだ。

だから、飛ぶのにフェアウェイをしっかり捉えてくるトッププレーヤーは、超すごいのである。

今のドライバー。飛んで、曲がらないはあるけれど、それが狙ったところにいくという意味じゃない。打ち出された方向にまっすぐに飛んでいきやすいという意味だ。打ち出された方向に狙っていたフェアウェイがあるのか、右林があるのかは打ち手の腕次第。それは昔とあまり変わらない。

合ってる道具というのは、狙った方向に打ち出しやすい道具である。

では、狙った方向にボールが飛ばなければゴルフにならないかといえば、そうでもない。コツは飛ばさないこと。大きく曲がる前に地面に落ちれば林やOBまで行かない。インパクトで方向性が狂っても250ヤードキャリーなら林だが200ヤードしか飛ばさなければラフで済む。無理に飛ばさないことで首の皮一枚つながり、次の一打を紡いでいけるのだ。

飛ばないことがいいわけではない。もっと飛ばせるが、あえて飛ばさないところがゴルフらしさだといいたいのだ。

パターはフルショットすれば100ヤード転がせるかもしれない道具だが、それで30センチより短い距離を打つのがゴルフだ。アプローチもアイアンもユーティリティーもフェアウェイウッドも。道具としてはもっと飛ばせるが、調整して、あえて飛ばさないように打っている。

ドライバーもたぶん同じでいいはずだ。あえて飛ばさないことで自分のプレーする「ホールの範囲」にボールは止まるだろう。

実際にドライバーで飛ばさないように打ってみていただきたい。頑張れば250ヤード飛ぶ人なら、200ヤードは楽勝に感じるだろう。でも、ドライバーで飛ばさないように打つのは意外に難しい。200ヤードでいいと思っても、フルショットと変わらないくらい飛んでしまうのだ。ドライバーというのは飛ばそうとしなくても飛んでしまうクラブ。最新ドライバーとはそういうもので、自分が頑張らなくたっていいということに気づくだろう。

その結果、強振する気持ちが薄まってくれたらいいと思う。無駄に振りすぎてたことに気づくと、とてもいいことがある。

そして、もう一つ。250ヤード飛ばせるドライバーで200ヤード打つのと、きっちり当たれば200ヤードのユーティリティで打つのとではどちらが結果が良いのか。そこも見極めのひとつ。飛ぶものを調整する方がやりやすい人もいれば、フルショットの方が安定感が出る人もいるだろう。これは人それぞれ。だからこそ「見極め」が必要だと思う。

頑張ればもっと飛ばせる道具を持って、あえて飛ばさないように加減して打っていくのがゴルフの基本。そして、いざというときは振りちぎって飛ばしにかかるのもゴルフ。その時は曲がったり、狙ったところではないところにいってしまうのも想定して、できるだけ集中して頑張りたい(笑)

だいたい狙った方向に打てる距離を「身の丈にあった距離」という。その距離を道具というより自分自身の努力によって伸ばしていく。それもまたゴルフっぽさだ。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在