ポアナ芝のグリーン、という方がいる。アメリカのゴルフコースの説明に多用されるポアナ芝とは、たぶんこの植物のことを指しているのだと思う。 水はけが悪かったり、散水が多めだったりする場所には特に生えやすく、あらゆる場所に生えている。 畑にも道端にも生えるこの植物は、日本ではスズメノカタビラと名前が付けられている。
世界共通の名前は、属が〝 Poa 〟種が〝 Poa annua 〟である。 ポアには数百種類もあるし、ポア・アニュアかどうか一見ではわからない。 沖縄の一部ではポアの園芸品種などをウィンターオーバーシードという技法で使うこともある。 発音と聴きとりの仕方で〝ポアナ〟は誤差の範囲だと思えるけれど、ポアナ芝という表現は、馬から落馬とか、柴犬犬みたいだからちょっとね、と思う。
ラフやフェアウェイでは大きく育っていたスズメノカタビラは、毎日低く刈り込まれるグリーンだと小さく生える。 こんなに小さいのにも関わらず、花を咲かせ、種を付け、どんどん蔓延っていく。最初は一円玉にも満たない小さな株が、いつの間にか野球ボールくらいのコロニーになる。 小さなうちは手で抜き取ることも出来るけど、大きくなり過ぎたら手遅れだ。 ベントグラスを育てる全国のグリーンキーパーの悩みの種である。
周辺のベントグラスの葉っぱが平らなのに対して、中央に生えているスズメノカタビラの葉っぱがV型になっているのが分かるだろうか。 密度が高くモコっと膨らみやすいから、グリーン刈込から時間が経過した午後から夕方になると、季節によってはボールが跳ねながら転がることもある。 ただし高麗芝のような芝目は少ないので失速するか、傾斜なりに強く曲がることが一般的だ。 スズメノカタビラが多いグリーンだと感じたら、カップの近くはチェックしておくのが賢明だろう。