牧童がはじめた球転がしがいつしかゴルフと呼ばれ、現代に続く。数世紀もそうして遊ばれてきたゲームは幾つもの海を渡り、その地方文化にふれて変化した。土も気候も違う国で育ったゴルフがどう根付いたか。
日本のゴルフがはじまって一世紀を過ぎて、新しいコースが生まれる余地はいまのところない。ちょっと古くなったコースを保全修復するのが設計家のひとつの大切な仕事。リノベーションなのかリビルトなのか、どの概念を残すのか、どこまで現代風な便利さに甘んじるべきなのか。そういうことをきちんと整理して、将来のためを意識した仕事は案外少ない。
たとえば経年劣化をどこまで予測してデザインしたか、なんてことをどこまで意識したか推察することも大切なこと。平安時代から日本の作庭は始まっている。やみくもにそこに木を植え石を置いたわけじゃない。
かつてアリソンが来日したときに幾つかの庭を観させたようだが、アリソンという人間を判断するための目的だったのか、日本の心を教えたのか本当のところはわからない。間違いなく言えることはアリソンの思想に変化を与えていることだ。人間とはそんな生物である。
まだ二千を超えるゴルフコースが存在する日本。日本人が心から美しいと思い、心から楽しめるゴルフゲームをするにはどうするべきなのか、考えるべきことは実のところとても多く、表面的でないことがその殆どだ。日本のゴルフが続くようデザインすることが個人的にはとても楽しい。