彼ならばどうしただろう

タイトリストの975Dチタンを手に取ると、ペイン・スチュワートの勇姿を思い出す。1999年の全米オープン。フィル・ミケルソンとの優勝争いは、私の記憶の中に最も特別なものとして焼き付いている。

Driver: Titleist 975D Titanium 9.5°
3 Wood: Orlimar Tri-Metal 13°
Irons (#2-#9): Mizuno MS-4
Wedges: Mizuno MP-14 (PW)、Cleveland TA588 (SW)、Ping Zing 2 (LW)
Putter: See More
Ball: Titleist Tour Prestige 90

975DチタンにはダイナミックゴールドX-100が挿れられていたと思う。もうじき四半世紀が経つと思えば長いが、まだ23年しか経っていないともいえる。少なくとも私の中では、ペインのプレーを忘れるほどの時間はまだ経っていない。

感覚的には「ちょっと前」まで、ドライバーにスチールシャフトを挿れているツアープレーヤーは珍しくなかったのだ。そして、上記のようなシンプルな道具で忘れられない戦いをし、優勝を果たしている。勝つに十分なゴルフ道具。いやむしろこの直前に自らクラブ契約フリーとなり、勝つために揃えたセットがこれだったということだ。

2023 プロV1の最新モデルが登場。ウレタンカバー・ソリッドボールのパイオニアもこのモデルで四半世紀を迎える。

99年ペインが使っていたゴルフボールはタイトリストの「ツアープレステージ90」だったようだ。ご存知の通り、95年に日本市場限定で発売されたウレタンカバーのボールである。これが「プロフェッショナル90/100」となり、2000年にソリッドコアのウレタンカバーボール「プロV1」へと繋がっていく。

ペインは、400ccを超えるフルサイズチタンドライバーとウレタンソリッドボールが作り出す「飛距離偏重時代」となる端境期に「全米オープン」を獲り、その直後、不慮の事故によって旅立っていった。彼がいた時代は、まだスピンコントロールとパッティングがゴルフの見どころだった。本当にギリギリではあるが。

もし、ペインが飛行機事故に遭わなければ、どんな道具を選び、どんなゴルフをし、どんな成績を残していただろうか。460ccの長尺ドライバーを使いこなし、勝ち星を伸ばしているだろうか。あるいは進化する道具に対応できず早めにツアーから撤退、テレビの名解説者となっているだろうか?

彼ならばどうしただろう? そんなことを洋梨型のオールドチタンを拭きながら思う。

What Would Jesus Do?

 

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在