用の美という言葉があるが、個人的には「使用の美」といった方がしっくりとくる。
使い始めよりも大事に使用していった後の方が味わい深く、美しく見える。
そんな道具に魅了される。
レザー製品である野球のグラブや硬球。木製のバットも手入れを怠らず、丁寧に使うことでどんどんかっこよく育っていく。その様を眺めるのが好きなのである。
ゴルフの道具はどうだろうか。使い込んでカッコよくなっていくのはMBアイアンくらいか。
かつて軟鉄素材を採用する理由に「いい感じのアタリ傷がつくから」と語ってくれたメーカー開発者がいたが、その時「アンタ、ようわかってんなぁ!その通りやで」と感動したのを覚えている。なんで関西弁風なのかもわからないが、その方が素直に感情を伝えられる気がした(笑) それらしく打感が云々というのでなく、見た目がかっこいくなっていくからと言うのは、正直で素晴らしいと思った。アンタ、ゴルファーなんだねぇとも。
今はもうその人は、ゴルフ業界にはいない。きっと自由に、かっこいいクラブを使っているだろう。