軟鉄の良さを知る人よ

用の美という言葉があるが、個人的には「使用の美」といった方がしっくりとくる。

使い始めよりも大事に使用していった後の方が味わい深く、美しく見える。

そんな道具に魅了される。

レザー製品である野球のグラブや硬球。木製のバットも手入れを怠らず、丁寧に使うことでどんどんかっこよく育っていく。その様を眺めるのが好きなのである。

ゴルフの道具はどうだろうか。使い込んでカッコよくなっていくのはMBアイアンくらいか。

かつて軟鉄素材を採用する理由に「いい感じのアタリ傷がつくから」と語ってくれたメーカー開発者がいたが、その時「アンタ、ようわかってんなぁ!その通りやで」と感動したのを覚えている。なんで関西弁風なのかもわからないが、その方が素直に感情を伝えられる気がした(笑) それらしく打感が云々というのでなく、見た目がかっこいくなっていくからと言うのは、正直で素晴らしいと思った。アンタ、ゴルファーなんだねぇとも。

今はもうその人は、ゴルフ業界にはいない。きっと自由に、かっこいいクラブを使っているだろう。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在