ゴルフコースと音楽と

OUT~INとA~Bの関係性。コース設計は作曲と同じだという設計家は少なくない。実は、私もそう考えるひとりだ。

1番ホールと1曲目の役割に似たところは多く、16~18番ホールとエンディングの曲も同様だろう。アルバム全体の曲調を通してどう感じるかが実は大切で、ヒットメドレーを無選別に聞き流すのとは異質のものだ。

音楽が楽器の変化や時代のニーズによって編曲されるのと同様で、ゴルフコースにも経年劣化や用具の変化に合わせた改修は必要であろう。しかし、トーナメントの試合展開だけ、カメラ映りだけ、利便性や経済性だけしか配慮されていない仕事が余りにも多く残念だ。

音楽には著作権があり編曲者も明示されている。しかしゴルフにはそんな文化は未だなく、改変者不明の無責任な仕事がほとんどだ。誰が原図を起こし、誰が現場監修をして、誰が改修設計をした。そのくらいの情報はあって然るべきだろう。

まだ若い音楽分野のジャズでさえ、どこでいつ誰が演奏したなどの音源履歴は大切にされている。ゴルフは未だ足元にも及んでいない。

 

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー