みるべきところ

ゴルフダイジェスト「Choice」の取材でマーク金井氏の散歩ゴルフに同行した。よくしゃべり、その合間にさらりとボールをだいたい狙ったところに運んでいく。力みなし。まさに呼吸するようにボールを打っていく。

このショット、どんな狙いを打っているかは100%わかる。なぜなら、本人が打つ前に「あそこら辺にボールが止まればいいと思って打ちます。それ以上飛んでしまったらフォルトです」とかいうから。ひとりゴルフでも狙いを口にしてから打っているという。さらりと打っているが、狙いを明確に定めてから打っている。実は丁寧だ。そこが、つくづくゴルフっぽい。

今回は、短尺スチールドライバーが取材の対象だったが、伝えたいことはこれを使えば飛ぶとかスコアがよくなるとかではない。マーク氏がどういうゴルフをしようとしているのか。それを知りたかったし、伝えたかった。短尺スチールドライバーは、目指すゴルフをやりやすくするための道具にすぎない。だから、あまりそこに焦点を当てたくなかった。

ドライバーを短くして、スチールシャフトにしたら狙ったところに打てる! そんな読後感になるような記事には絶対にしたくなかった(汗) なぜなら、狙ったエリアにボールを運んでいるのは、打ち手のスキルによるところが大きいからだ。

マーク氏が夜な夜な練習器具を振ったり、スポンジボールを打ったりしている動画をSNSに挙げている。もう見慣れて何も思わないが、実は毎晩あれをやっていること自体が普通ではない(笑) 飽きもせず、毎日、毎晩同じことを反復していることが、まず非凡。毎日二万歩歩くために、早朝や薄暮にハーフラウンドしているのも、超非凡な行いだ。その日常、積み重ねがあるから、あの辺にボールを打ちたい(止めたい)と思えば、だいたいその辺にいくのだと、今回、自分は打たずにラウンドに付いていて改めて思った。真似したいならクラブではなく、反復練習をまず、である(笑)

短尺スチールドライバーの役割、メリットは、たぶん「余計なことをしない」ことだろうと思った。思ったよりも飛んでしまったり、つかまったりしないことだ。ボールをコントロールするのはヒトである。それをしやすいのが短尺スチールドライバーだったということになるだろう。

道具そのものではなく、なぜその道具に行き着いたのか。みどころは、そこだ。

ぜひ、発売中の「Choice」誌237号をご覧ください。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在