なぜ、

なぜ、いまだにMBアイアンの最新が作られるのだろう

最近、「ターゲットがいるからこそ、多様な道具が生み出される」ということを強く意識している。ウルトラロースピンドライバーが、ウルトラロースピンで飛ばすためのクラブではないし、飛ばせる人が打って200ヤードキャリーするアイアンが、そんなに飛ばせてしまう人向けのモデルではないからだ。

モデルバリエーションは、常に誰かにとっての「適正」を目指して開発されている。

ウルトラロースピンドライバーは、通常のモデルではスピンが多くて飛距離や安定性を損なってしまっているゴルファー向け。そういう人が使えば「より適正な弾道(ちょうど良いスピン量)」になる。

飛ばせる人が打って200ヤードキャリーするアイアンも、7番で200ヤード飛ばすのが目的ではない。通常モデルではイメージした7番の距離が打てなくなってきたと悩むゴルファーに向けたものだ。たぶん、7番で150ヤードくらいは飛ばしたいと願う人に向けて作られている。

ドローバイアスの強いモデルも、ドローを打つのではなくスライスを軽減させるのが目的。高弾道モデルも通常モデルでは適正な打ち出し角度が得られなくなってしまった人向け。

ロースピン、ディスタンス系、ドロー、高弾道……は、そうすることで「適正」に導こうとしているのである。

多様化する道具を正しく手にするためには、自分を知ることが先決。足りないところを知り、それを補ってくれる道具を選び、適正弾道を目指す。適正とは身の丈以上に飛ばすことではない。自分のパワーレベルで飛ばせる距離を安定して打てるようにすること。我々アマチュアは、ロスが多い。「適正」に程遠い。だからこそ、それを補うことで今よりも飛ばすことが可能なのだ。

「過度」に飛んでグリーンオーバーしたり、つかまり過ぎて左にいっても、ロースピンが過ぎてチーピンが多発しても具合が悪い。自分にとっての「適正」を考えながら、必要な道具のあり方を考えたい。なぜ、7番で200ヤードも飛ばせるアイアンを、飛ばせる人たちが使わないのか? そこを考えたい。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在