
アンチエイジングというけれど、すべてのものはエイジングされていくのが自然。このモノを大事に使っていくと、どう変化していくのだろう、と買う時に想像し、それすら楽しめる人は実にセンスがいい。
帆布製のカバン。濃い赤や濃い緑を買った人からは色抜けや灼け、つまり色味の変化についてクレームが入るケースが結構ある。綺麗な赤だと思って買ったのに、すぐに色が抜けてしまった!全然違う緑になった!と。
買った時の色味を最良としてしまうと、布やレザーの製品は使えない。とくに赤や黄色はすぐに日光で色が抜ける宿命。長く使うには向かない色味である。郵便車や赤い車のボンネットの褪色具合は半端ない。とても貧相な経年変化になってしまうように思える。
その点、カーキやブラウン、ベージュなどのアースカラーは色が抜けてもあまり気にならないし、汚れも目立ちにくい。ブラウン系レザーなどは、手入れをしていくとむしろかっこいくなっていく。
新品の時よりもかっこいくなっていく育てがいのある色。長く愛すにはそんなのがいいなと思う。

5年、10年したらコイツはどう変化していくのだろう? 常にその想像をしながら選んでいく。粘土細工にクリア塗装をするときも、飴色に褪色していく系のクリア塗料は何か?と、結構調べて買った記憶がある。今の塗料はとても「進化」しているので、経年変化が起きにくくなっていたりするが、それは逆にイヤだった。小学校の図工で使っていた普通のヤツ。アレが欲しかった(笑)
その10年経ち、Mr.PINGが思ってた感じに育っているかといえば、まぁまぁというところ。昭和の時代に作ったんですか? くらいの色味にはなっていると思う。アリゾナのPING本社でみたオリジナルのMr.PINGはもっともっと褪色していてカッコよかった。四半世紀を超えた時が作り出した色合いだ。風合いといってもいい。
あれには絶対追いつけない。これからも時は平等に進むのだから。本物はもっとかっこいくなっていく。
