打球面の状態

PGAツアー「メモリアルトーナメント」で松山英樹が失格になった。ラウンドに携行した3Wのフェースに描いた白いアライメントが、打球面を凸凹させ、結果、打球に何らかの影響を与える可能性があると判断されたのだ。

ゴルフクラブの「打球面」は均一でなければならないとされているから、たとえタッチペンみたいなミクロな塗膜でもマーシャルが指の腹で撫でて「凸凹になっている!これは異物だ!」と判断したらもうアウトなのだろう。

今回の松山選手は、フェース面にはみ出したペイントをスタート前にしっかりと溶剤で拭い去っておけば、まったく問題なかった。溝の中に色が入っているクラブは山のようにあるわけだから。単純に加工の後処理が「雑」だったということだ。

もちろん、きちんと拭い去ろうがそれをインプレー中にやってはいけない。ラウンド中にフェースにペイントしたり、クリームみたいなものを塗ったり、ヘッドに鉛を追加で貼ったり、可変ウェイトやスリーブをカチャカチャしてはならないのだ。

それとは別の話だが、今朝、改めて思い出したのは「打球面の均一な状態」について、ゴルフのルールは意外に厳格だということである。以前、あるメーカーがアライメント(視認性向上)目的でチタンドライバーの打球面の一部にIP加工を施したクラブを発売したところ、R&Aでルール違反とされてしまったという事例がある。メーカーの意図はあくまでもデザイン性だったわけだが、ルール上の解釈ではイオンプレーティングはフェース材とは異質なものとみなされ、それを部分的に「コーティング」して不均一な状態を生み出しているとみなされてしまったのだ。同じことをサンドブラストでやったらたぶんOKだろう。レーザーで模様を描いたっていいわけだから。同一素材であることがここでは重要。

打球面の均一な状態。

愛用しているパーシモンのフェアウェイウッドは、現行ルールではどういう扱いをされるのだろう?とふと思った。打球する可能性がある範囲は、木材、樹脂、カッパーとマルチマテリアルで構成されている。インサートを留める真鍮ビスの異物感も相当なものだ。

今、この4Wをキャディバッグに入れてPGAツアーに参加したら“失格です”ってなるのだろうか? タッチペンよりも確実に打球に影響がありそうだから失格にならんとおかしいが、なんとなく昔はOKだったんだし、いいか!ってなるような気もする。その代わり、新製品として同じものを作って売り出したら、“それはダメでしょ”ってなりそうな気も(汗) いろいろ考えた朝でした。

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在