嗜む

飲んでも飲まれるな、酒はそう教わった。我儘に好きに飲みたいなら独りで家で飲め、そうも教わった。嗜む程度、とはとても奥ゆかしい表現である。言葉に込めている意味合いと、受け手の感じ方、その場でその程度は変ってくる。

量、味、質、器、音、温度、雰囲気、気にすることは沢山あるが、独りで飲む酒でも場所や気分で好みは変るし、友達と一緒であれば尚更である。酒を飲むことが目的なのか、それを楽しみながらの会話なのか、一緒にいる時間の質なのか、それこそが嗜みの本質かもしれないとこの頃思う。

 

ゴルフはどうだ。朝っぱらから腕前や用具や服装を自慢したり卑下したりする方が少なくないが、数寄者の慮った言葉とは程遠いそれは耳障りで仕方ない。ボールやクラブが道具でなく用具といわれる所以はその辺にあるような気がするこの頃である。

 

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー