MOE86には「もうええやろ」という製作者の想いが入っている。それは誰かに対して放たれている言葉ではない。自分に対して「もうそのへんでいいでしょ」「コレで十分でしょ」と諭しているだけだ。
悠々自適とあるように、自分でちょうどいい頃合いを決めてこそ、心にゆとりが出てくる。やっとその先に行ける。そんなものなのかもしれない。
もっと、もっと!と青天井に欲しがっていては、ずっとそこに立ち止まったまま。ゴルフ道具も「試打」ばかりしていたら、いつまで経っても楽しい「ゴルフ」を始めることができないよ、ということである。やはり、そろそろこのあたりで一旦いいかな、と思うことが実はとても重要だったりするのだ。
もちろん、ちょうどよい頃合いは人それぞれ。何をコレでよしとするかは自分次第だ。
写真のMOE86を示して、すべてのゴルファーに「もうコレでええやろ」なんてことは一言も言ってない。製作者が自分で頃合いを決めて、「コレでええか」と思えばこのミッションは終了である。他の人がちょろっと打って「こんなのダメやろ」と言ったって何の意味もないし、何の価値もない。お前はお前の「MOE86」を決めたらええやん、と言われるだけである。
ゴルフは結局、最後にパットが入るかどうか。ティショットもアイアンショットも、アプローチもカップ付近にボールを運ぶ「1打」に過ぎないのである。だとしたら、飛距離追求も「このへんでええか」と思えるようになるのではないか。そういう考え方も示されてある。
たくさんある道具の中で、どれが正解で不正解なのか、という話ではない。自分自身で頃合いを決めることって大事だよってことを、風変わりなネーミングで伝えたいだけなんじゃないかって思う。