もうええやろうの話

MOE86には「もうええやろ」という製作者の想いが入っている。それは誰かに対して放たれている言葉ではない。自分に対して「もうそのへんでいいでしょ」「コレで十分でしょ」と諭しているだけだ。

悠々自適とあるように、自分でちょうどいい頃合いを決めてこそ、心にゆとりが出てくる。やっとその先に行ける。そんなものなのかもしれない。

もっと、もっと!と青天井に欲しがっていては、ずっとそこに立ち止まったまま。ゴルフ道具も「試打」ばかりしていたら、いつまで経っても楽しい「ゴルフ」を始めることができないよ、ということである。やはり、そろそろこのあたりで一旦いいかな、と思うことが実はとても重要だったりするのだ。

もちろん、ちょうどよい頃合いは人それぞれ。何をコレでよしとするかは自分次第だ。

写真のMOE86を示して、すべてのゴルファーに「もうコレでええやろ」なんてことは一言も言ってない。製作者が自分で頃合いを決めて、「コレでええか」と思えばこのミッションは終了である。他の人がちょろっと打って「こんなのダメやろ」と言ったって何の意味もないし、何の価値もない。お前はお前の「MOE86」を決めたらええやん、と言われるだけである。

ゴルフは結局、最後にパットが入るかどうか。ティショットもアイアンショットも、アプローチもカップ付近にボールを運ぶ「1打」に過ぎないのである。だとしたら、飛距離追求も「このへんでええか」と思えるようになるのではないか。そういう考え方も示されてある。

たくさんある道具の中で、どれが正解で不正解なのか、という話ではない。自分自身で頃合いを決めることって大事だよってことを、風変わりなネーミングで伝えたいだけなんじゃないかって思う。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在