Titleist Pro V1に、格が違う とプリントされている。
なにこれ?
このボールは昨日、東京でインタビューしたタイトリスト ゴルフボール メアリー・ルー・ボーン社長からいただいたものだ。彼女は米国東海岸マサチューセッツ州のフェアヘブンから遠路はるばる日本市場の視察のために来日。その間隙をぬってインタビューした次第だ。
そのインタビュー内容はまたどこかで書くとして、ここでは謎のプリント「格が違う」について書いてみたい。
正直に言うと、私もインタビュー終わりに突然これを差し出されて、一瞬「?」と思ったのだが、格が違う? 格が違うってなんだ?、、と何度か反芻したところ、埋もれていた記憶がありありと浮かび上がってきた。
私は2012年、2014年にタイトリストボールの本拠地であるフェアヘブンに取材に行っているのだが、格が違う は、14年のインタビュー終わり、和やかな雑談の中で出てきたワードだと思う。
当時、副社長だったメアリー氏から、ボールメーカーとして、他ブランドとまったく違うポジションにいる状態のことを日本語でなんというか? と問われて、私は 格が違う と答えたのだ。
ツアーでのボール使用率でいうと、タイトリストボールはアベレージで70%前後、多い週だと80%を超える圧倒的な使用率を誇る。対して2位ブランドは常に10%前後のシェアだ。2位のポジション争いは苛烈、しかしタイトリストは常に孤高の存在であり、自らと向き合いながらさらなる高みを目指している。そんなインタビュー内容を踏まえての、日本語でなんて言う? というメアリー氏からの逆質問だったのだ。
その時、私が誌面で使った記事見出しも、確か「別格なるもの。」だった。
メアリー氏によれば、我々が日本に帰った後、彼女は自分のオフィスに「格が違う」と書いた額を飾り、過ごしてきたのだという。社長に就任した今もそれは飾ってあるそうだ。
そんな話はまったく知らなかったので、ものすごく驚いてしまった。
おそらくだが、来日してスケジュールを確認した時、「格が違う」といったヤツのインタビューがまたセットされていることを知って、彼女は急遽「格が違う」ボールを手配したのだと思う。女性らしい細やかな気遣いだと思う。
メアリー氏は、ボールを手渡しながら、
「私の知っている日本語は、“コンニチハ” “アリガト”、そして“カクガチガウ”、その3つだけよ」と言って笑った。私も思わず吹き出した。
「格が違う」。
私にとっても、この日本語は忘れられないものになった(笑)