耕す人。3

ウェッジデザインの2大巨匠。

スコアメイクでもっとも重要なクラブは一つはパター、もう一つはウェッジです。特にウェッジはロジャー・クリーブランドさんとボブ・ヴォーキーさんの二人は傑出していて、現代のウェッジという畑をしっかりと耕し、未だにその畑から優れた作物を収穫していることに対して現代のゴルファーは感謝すべきことだと信じます。

ウェッジは2つの役割があります。

一つはピンチをしのぐ道具だということです。ミスショットをあらゆるライからも脱出できるように工夫されて作られています。

もう一つは攻撃的な使命を持ったもので、ピンに鋭く絡みバーディを手元に引き寄せる役割です。

同じクラブですが状況によって役割が違いますが、いずれもフルショットで距離を出すものではなく、距離と方向を一致させて狙い打ちをする道具、ゴルファーの意思を弾道で表現するための道具がウェッジなのです。

そのためにヘッドの形、ソールの形状、シャフトの種類や硬さ、グリップの形状や太さそして感触など使い手の意思が道具に自然に伝わるように小さな部分にまでこだわりや配慮がなされているのです。

コンピュータで設計するCADではその部分はなかなか出し得ないもので、使い手の要望を聞きながら微妙に手を加えながら作り上げていくものだからです。若手のデザイナーがなかなか出現しないのも経験という財産が大きな役割となるからです。

今ではウェッジと一口で言ってもロフトは48°から64°まで2度刻みで用意され、ソール形状やバンス角などを含めるとかなりな種類となります。そんな畑を2人は耕してきたのです。

ロジャー・クリーブランド氏。2019PGA SHOWにて撮影。

ロジャーさんは、名器と言われるTA588(1988年にデザインされた5番目のモデル)をベースに、ウェッジをどんどん進化させ続けています。

ボブさんもテーラーメイド時代はトレビノ担当のクラフトマンで、彼の手がけたウェッジはソールに特徴があり、数々の大舞台で実力を遺憾無く発揮してきました。そしてファウンダースクラブを経て、タイトリストに入って水を得た魚のように「これがウェッジだ」というものを作り出し、今もその手を緩めていません。

ボブ・ボーケイ氏。2019 PGA SHOWにて撮影。

畑を耕し続けること。単純な作業に見えますが、じつはすごく難しいことです。その畑からいつも優れた作品が出るのは、次を見据えた努力という地味な作業を続けてきた上にあるからです。

 

 

この記事を書いた人

松尾俊介

松尾俊介

Cultivator/ Shunsuke Matsuo
キャロウェイゴルフで20年、卒業して4年。今はフリーランスとして活動していますがそのメインテーマは「日本のゴルフを面白くする」です。
長年ゴルフと向き合ってきた中で、最近感じてきたことですが「ゴルフは言語と同じで便利なコミュニケーションツールのひとつ、そう「人と人を結びつける、理解し合う優れた道具」だと強く思うようになりました。
そのような視点で振り返ると、いろいろな人とゴルフをするたびにその道具の恩恵を受けながらここまできたんだなと感じるようになりました。
であれば、皆さんより少しだけより多くの時間と経験を積み重ねた分だけ、感じたこと、考えたこともあり、それらをまとめながら、日本のゴルフをもっと面白くして、ゴルフの楽しさを伝えたいな、次世代の人のために。
自身の終活の一つとして…