これは 2016年2月21日 に個人のFACE BOOKに記した文章です。
【路地裏の信念】
打ち合わせからの帰り道、
久しぶりにダイギンゴルフに行きました。
オヤジさんが私のことを覚えているはずもないですが、なんか一人で奮闘されてる姿を拝見し、涙出そうになりました。
相変わらず、カーステン愛に満ち満ちておられます。
「日本人は損をしている。合っているクラブなら長いこと使えるのに、次々と新しいクラブを使うでしょ。もったいないことやと思います」
おそらく、10回は聞いたオヤジさんの嘆きですが、いつ聞いても、頭をガツンとやられた気がします。
「EYE2のアプサイドダウンをお持ちなら、それをずっとお使いになればいい。あれ以上のアイアンはないんです。ヘッドは同じ。年齢によって、シャフトを変えるんです。もっと歳をとったらカーボンになさればいい。ただ、柔らかいんはダメです。気温によってカーボンは柔らかくなりますから。夏になったら柔らかくなって、トゥダウンしますよ。だから、硬さはS以上。これだけは言っておきます」
オヤジさんのお話は、時間とともに熱を帯び、気がつけば1時間あまり、お話ししました。
本当は、少しだけ寄って、ゴルフフェアに行こうと思っていましたが、今日はオヤジさんの熱をそのまま持って帰りたいと思います。
普通の中古ショップなら数千円のクラブが、ここでは数万円で売られています。
価格とは、売れる値段なのではない。売る者がどれだけ商品価値を認めているのか、モノを信じているのか、をはかる数字なのだ思いました。
「今は高いと思うでしょ。でも長く使えばどうですか? どんどん安くなるんですよ。ゴルフクラブは家電と違う。一生使える道具なんです」
御徒町の路地裏で。
信念の人が、暮らしています。
…………
ダイギンゴルフのオヤジさん、河村次郎さんはホームページによりますと、2018年の10月に残念ながら他界されたそうです(享年93歳)。カーステン・ソルハイムに惚れ、PINGを愛した。こんな一途なゴルフ屋さんはもう二度と現れないと思います。素晴らしい思い出をありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。

オヤジさんの言葉をSNSではない場所に残しておきたくて、ここに転載いたしました(2019年2月21日)