シンプルな形状の中に振り味をコントロールするアイデアが詰まっている。野球のバットは面白い。
先端が少しくり抜かれているバットは、そのぶんバットエンド(手元部分)のボリュームが大きかったりする。
手元が重たい。つまりカウンターバランスということだ。
では、先端くりぬきバットの場合はどうだろうか?
好奇心でバランスを取ってみて「この転写マーク、適当につけてるわけじゃないんだ」と感動を覚えた。マーク自体はGENERALというメーカーのロゴなのだろうが、これをGRAVITY(重心)という意味で使用しているのだからオシャレさんだ。
では、このバットの形状によって、バランスポイントがどれくらい変わっているのか?
再確認しておくと、一般的なバットはAir Seasonsのろごあたり、先端くりぬきはGマークの付近にバランスポイントがきている。それを踏まえて下の写真を見てみると、
道具というものは、よくよく考えられているんだな、と感心する。しかも、上が良くて下がいいわけではない。使う側のニーズや好みによって、道具は常に形を変えている。単一素材でシンプルな形状しか許されない道具ほど苦心の痕が見えて興味深い。そういう道具は愛おしい。
カスタマイズ。
多様化というのはそういうこと。人は人、自分は自分と認めること。先端くりぬきがみんなにとっていいわけではない。ヘッドヘビーが誰にとっても振り重たいわけでもない。これを振って自分はどう感じたか。関心を寄せるのはそれだけでいい。
ゴルフクラブも同じく。自分が「振る」道具である。