消耗品にしない暮らし。
使い続け、研ぎ続け、小さくなってしまったけれど、このカタチがまたいいんですよね。この包丁が使いたくて台所に立つんですよ。だってほら、とても美しい。見てるだけで幸せになるじゃないですか。
小さい頃から就寝中に見た夢のことは覚えていないタイプだけれど、今朝方に見た夢の切れ端はなんとなく覚えていた。見知らぬ料理人が包丁を手にゆったりと話しているのだ。ちびた包丁は確かに道具感があり、歴史があり、唯一無二。料理人の人生そのものを感じさせる鈍色の光を放っていた。
こんな夢を見たのは、たぶん型染め作家・柚木沙弥郎さんのドキュメント番組を昨年観たからだと思う。番組中で柚木さんがちびたバターナイフを手に、愛着たっぷりにお話しされていた。その記憶が頭の片隅にずっとあるのだと思う。
同じようなモノを持っているのに、つい、また買ってしまう。そんなことばかりしてきたから、きっとモノを大事にする人に憧れているのだ。
最小限のモノたちと一緒に、穏やかに暮らしていけたらなぁ、と思う。
例えば、ずいぶん前にオリジナルで作ったゴルフマーカー。紛失さえしなければ、これだけでじゅうぶんに残りのゴルフ人生を全うすることができる。これがあるのに他のはいるのだろうか。
いらないよなぁ。
消耗しないモノを消耗品のごとくポンポンと替えていく暮らし。やめていこうと思った。