可能性 いっぱい

サンドアイアン(ウェッジ)という「バンカー用クラブ」が登場してから約90年となる。さて、バンカーショットは本当に容易になっただろうか?

そう問われても困ってしまうかもしれない。私たちは皆、サンドウェッジが当たり前にある時代にゴルフを始めているのだから(笑)

でも、サンドウェッジがキャディバッグに入っていないことを想像すると恐ろしくなる。不安になる。そういう意味では「サンドウェッジの効用」を十分に認めていることになるだろう。

考えてみると、我々は常に同じゴルフ道具を使用する「権利」を与えられてきた。「あなたは上手いプロだからサンドウェッジを使ってはいけない!」というわけではない。ユーティリティクラブが、そもそもロングアイアンが不得意なアマチュアのために生み出されたものだったとしても、それは上手い人でも使っていい道具だ。みんなに同じ権利が与えられ、自由に道具を組み合わせてゲームを楽しむことができるのがゴルフのいいところである。

残念なのは進化した道具を使っても、打球結果やスコアは同じにはならないこと。むしろ、上手い人とそうでもない人の差は、近年どんどん広がっているといえる。現在のプロゴルファーはウェッジやユーティリティ、精度の高いゴルフボールを使って我々には想像もつかないスコアを叩き出す。Today -8、-9は当たり前だ。いいスイングに進化した道具が合わさると、ゴルフはあのように簡単になってしまうゲームなのだ。

どこまでいっても、結果のベースにあるのは本人の力量だ。努力して効率のよいスイングを身につけることだ。努力なしにプロと同じクラブを使ったところで、Today-9が出るものではない。努力しているプロがアマチュア向けっぽいクラブを使うと、Today-9が出るのだ。

ゴルファーには常に同じ道具を使う権利が与えられている。プロは努力しているから上手いのだ。我々ももっと努力すれば確実に上手くなれる。自分自身に伸び代がいっぱいある。道具だけでなく、自分の可能性を信じたい。

写真は、ジーン・サラゼン サンドアイアンのレプリカ。筆者の隣にいるのはウイルソンのエンジニア ボブ(ロバート)・マンドレラさん(故人)。90年代に出た「Wilson staff RM」は彼のイニシャルをとったもの。

 

 

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在