メガネの弦が取れた。ジョイントの樹脂棒が折れたようだった。
買ったメガネショップに相談に行く。メーカーに送って修理依頼をする、となった。直せないという判断になる可能性が高い、という条件付きだった。
二週間して回答がきた。「やはり直らない。旧モデルなので代替品がなく、フレームごと交換するのも難しい」。簡単にいえば「どうにもならない」ということだった。
ジョイントの樹脂棒は直径1.5ミリくらい。弦と本体部に折れた樹脂棒が詰まっている状態だった。なんとかしてこの残存樹脂棒を除去できれば、あらたな樹脂棒を入れてまた使えるようになると思った。
太めの手縫い針で除去を試みる。本体部の樹脂棒はとても短く、あっさりと除去できた。弦に残ったものも……、少しは難航したが数分で除去に成功した。
あとは新たにネジを回し込んでやればOK。買った時よりもよっぽど頑丈に仕上がった。金属ビスで折れることはない。
メガネフレームのメーカーも、専門メガネ店も「コレは直らないですね」と言った。諦めて新しいのを買うしかない、と。でも、素人が裁縫箱にある針を使ってどうにかできるような簡単な不具合だ。「直らない」はずがない。最初から「直す気がない」のだろうと思った。
iPhoneなども修理に出すとだいたい新品と「交換」になるが、もはや不具合を直して使い続ける、という感覚はないのだろう。メガネという道具を扱う専門ショップも、かつてのように職人的技術でなんとかして修理するということもなく、ただメーカーとの伝書鳩として機能するのみである。そんなことをしているから、そのうちメーカー直販となって、専門店など不要になってしまうのだ。
直してまで使うほどのモノではないのかもしれないが、そういうことではない。「姿勢」の問題なのだ。
今年は、その対極にあるモノ作りにも触れました。まつもとにて①をご覧ください。