我ら先入観のかたまり

これだけ見たら誰も気づかない、大きな変化

世界一精度の高い金属加工で知られるパターブランド「ゴールドファクトリー」の佐々家さんから、ちょっと前に“これ試してみて”と、レザーのゴルフグローブが送られてきた。内容物は2枚。なんとなくおんなじに見えるんだけど、、と思いつつ試し履きをしてみる。

サンプル1(現行品/販売中

ゴルファー目線だとこんな感じ

次にサンプル2(試作モデル/未発売)

さて、どこが違うか?

見慣れているのはどっち? でもいいかもしれない(笑)

サンプル1

ベルクロを小指側から引っ張ってくるパターン(ゴルフグローブは知る限り全部こっち)

サンプル2

ベルクロを親指側から引っ張るパターン(今まで無かった)

ベルクロがどっちサイドにあるかなんて、正直考えてもみなかった。サンプル1のパターンが当たり前で、そういうものだろうと気にも留めていなかった。

でも、逆パターンの履き心地を知ると「こっちのほうが見た目もスッキリするし、しっかりと留めやすい」なんて思ったりするのだ。ベルクロの向きによって引っ張るテンションが小指側にかかるか、親指側にかかるのかも変わってくる。このテンションがグリップした時のフィット感(つっぱり度)にも微妙に影響している気がした。

選択肢がなく、違うアジを知らないのに、「これでいい」と思っているコトやモノはゴルフの周りにはたくさんあるような気がする。

ここ数年、仲間や個人的にやっているゴルフクラブのことも、今回のグローブに近い。

・ヘッド重量のセオリーを無視し、思い切った軽量化を図ってみる。

ヘッドを200gから185gにするだけで、よいと思っていたシャフトの概念がガラリと変わる。今までのシャフトは重たいヘッド用のシャフトだと気づく。軽いヘッドに合わせるとすれば、今はないシャフトが必要になってくる。

・飛ばし主義の中で失われたロフト50°のピッチングウェッジでゴルフをしてみる。

50°のギャップウェッジとは違う、クラシカルな50°ピッチングウェッジに備わった扱いやすい重量感とコントロールしやすい適度なスピン。“ピッチング”という名称に込められた先人たちの思惑。現在もピッチングウェッジは存在しているが、それは名ばかり。グリーン周りからの使い勝手を加味して、アイアンとは違う流れでピッチングウェッジを作っているクラブメーカーが今、あるだろうか? 単に9番の次のアイアン、10番アイアンみたいなものに便宜上ピッチングウェッジと刻んでいるだけなのではないだろうか?という疑問が浮かんだ。

ゴルフのグローブはベルクロがこうなっているもの。ドライバーヘッドの重量は200gくらいでバランスがD1程度。アイアンに「P」と刻んであればロフトが何度だろうがピッチングウェッジである。

ホントにそうなんだろうか? なんとなく、そういうものだと深く考えてこなかっただけなのではないだろうか?

ストロングロフト時代だからといって、ピッチングウェッジが「ピッチショット」「ピッチ&ラン」をしにくいモノになってしまっても、問題ないのだろうか。道具の成り立ちを考えたならば、ピッチングのロフトはそのままにしておき、ストロングとなった9番とピッチングの間に「10」や「11」といった“ギャップアイアン”を入れるのが自然なのではないだろうか? なぜ、ピッチショットできないピッチングウェッジを当たり前として僕らは受け入れているのだろう?

現状の批判をしているわけじゃないが、先入観が強すぎて考えもしていないコトがゴルフには多いような気がする。

試してみれば、いろいろと気づくことがあるんだ。

普通のベルクロ位置のグローブ。最初の試作品と見比べてください。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在