盆も過ぎると感傷的になる日が増えてくる。夏のピークを越えて、実りの秋がくるはずなのに、そういう気分になるのは大人になるまえから続いている。本能的に何か感じているのだろうか。
何かに感情移入したり、人生を何かに例えたり、少々襟を正すようなことを考えたりする季節。盆がそうさせるのだろうか。
この頃よく思い出すのが祖母の言葉。両手を添えて丼を作ってごらん、それが食べていい量だよ。そのまま手で作った丼をお腹に添えてごらん、けっこうお腹膨れるでしょ。
なるほど、と何十回も思ったその言葉をもっと思い出していたら、この腹はもっと凹んでいたんだろうと五十路になって気付く。
煩悩に惑わされ、他人の眼ばかり気にしていたら、小欲知足には辿りつけないね、きっと。