スコアメイクに必要な飛距離

ゴルフの基本は、飛距離のコントロールにある。

自分がゴルフ媒体の仕事を始めた90年代前半は、飛距離不足に悩むシニアゴルファー向けに日本のゴルフクラブメーカーが、こういうクラブなら往年の飛距離を取り戻せますよ!とやっていた。いわゆる高反発ドライバーも、ユーティリティクラブ、カーボンヘッドアイアンも。どうしても、もっと飛ばしたい!という人向けに特別に開発されたモノだった。

その頃の米国ゴルフクラブメーカーは、“飛びますよ!”なんて興味なさそうだった。どちらかと言えば“コレを使えば曲がりませんよ!”とアピールしていた。寛容性が高い。FORGIVENESSが新製品リリースの最初に書かれている進化のポイントだったのだ。

飛ばせる人に追いつきたい日本人は、そのために飛距離アップを切望した。飛ばす力はあるが方向性が定まらなかった米国人は、フェアウェイを捉える“やさしさ”を渇望した。ゴルフクラブに求められるお助け性能がはっきりと違っていた。

今は飛ばせる人が「もっと!もっと!飛ばしたい!曲げたくない!」とやっている。かつてロングヒッターの目安だった300ヤードは、今なら3Wの射程圏だ。

いいスコアで回りたいなら、今も昔も300ヤードで足りているはず。その証拠に、飛ばせる人は3wでティショットする場面も多い。ドライバーの飛距離を抑えにかかっても、きっとプロのスコアは変わらないだろう。400ヤードドライブがどうしても必要な場面なんてないからだ。

飛距離が出せるドライバーやユーティリティ、初速アップのテクノロジーは、そもそも飛距離不足に悩んでいる人用だった。困ってない人の「最大飛距離」を更新させるためのものではなかったんだ。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在